カテゴリー「テーマ別木工」の記事

2010.04.11

【木工と安全】その日の木工をやめるべき11の兆候  ほか

■作業中に手袋をすべきか否か。

知っている方も多いので憚られますが、知らない人がいると困るので書いておきます。

手袋は、一般的には人間を怪我から守ってくれる「保護具」と認識されています。しかしながら、工作機械を扱う際には要注意で、機械によっては、怪我をより深刻にする可能性があります。

例えばボール盤。素手ならば、万一回転する刃物に接触してもとっさにすっと手を引っ込めることが出来ますが、手袋をしていた場合、手袋のだぶつきが刃物に巻き込まれることがあります。テーブルソーでもルーターでも、回転刃を持つ機械は全般にこの「巻き込まれ」によって怪我をする、あるいは怪我がひどくする可能性があります。(想像してください。)

ダメなのを承知でそれでも手袋をするならば、綿の軍手よりも革製の手袋とかがまだマシだと思います。よく考えて、自己責任でお願いします。

安全云々以前に、寒い時は単に寒くて手袋をしたいことがあります。手がかじかんで満足に作業できずヒヤリとすることもありますが、そこまで寒い環境ではスポット的にでも暖房を検討することが望まれます。

以前TOOLCRIBブログに書いてあった、木工に際して、最も簡単な法則は下記の通りです。

(1)材木を移動する時、と、フィニッシュ(塗装)の時「だけ」手袋を着用する。
(2)機械を操作しているときは、絶対に手袋を着用しない。

TOOLCRIB.COM : Using Gloves in the Woodshop

■その日の作業をやめるべき11の兆候。

これも以前TOOLCRIBブログに書いてあった、「その日の作業をやめるべき11の兆候」。

(1) 怒りで何かものを投げつけた時。
(2) 空腹の時。
  血糖値が低下すると注意力も低下するとのこと。
(3) 過労の時。10~30分の長すぎない昼寝が有効とのこと。
(4) 飲んでいる/ラリっている時(←ダメ、ゼッタイ)。
(5) 別なことでフラストレーションがたまっている時。
(6) 急いでいる時。
(7) 同じ間違いを繰り返す時。
(8) 普段より毒づいている時。
(9) 無理していると感じる時。
(10) よく集中力が逸れる時。
(11) 暑すぎる/寒すぎる時。
(12) (追加) 「中断できないと感じる時」

最後に追加された(12)項だけ逆説的ですが、いくぶん示唆的と思いましたので、イイカゲン和訳を下記に示しておきます。

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元々多くの木工家は、細部に過度の注意を払う、「コダワリ人種」である - 簡単に言えば、もともと病的に強迫的なのだと言える。

空腹であろうが、疲れていようが、イライラしていようが、「中断できない」と感じる時こそ、一息ついて深呼吸するサインなのだ。これは最も受け入れづらいサインだとは思うが、最も従うべき重要なサインであるとも言える。「やってしまわなければ…」という強迫観念は、あなたの「内なる警報」に耳をふさぐことになるからだ。

あなたのシゴトは明日になってもそこにあり続けるだろうが、あなたの指はそうじゃないかもしれない・・・。
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TOOLCRIB.COM : 11 Signs You Should STOP WOODWORKING (for the day…)

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2009.12.13

バンドソーブレードカバー

うちのバンドソーは、発売年次としてはかなり古いのですが未だに安くて良いと評判の高いG0555。
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オンオフスイッチは使いやすい位置にあるのですが、すぐその横をブレードの「帰り」が走っており(写真赤矢印)、材料の方に注目しながら手探りでスイッチを触ろうとして、ここに手を突っ込むんじゃないかとヒヤッとしたことが何度かあります。

黒いプラ製のコの字型のカバーの下の方を走っているのでそうそう大事には至らないと思いますが、万が一ということも考えてカバーを付けることにしました。
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そこら辺の端材で作ったので貧相です。

これを作ろうと思った2番目の理由は粉塵対策です。これまで何もなしだと下の方のすき間から木屑(粉塵)が盛大に吹き上がって難儀していました。紙粘土を詰めたり、軟質プラスチックシートを磁石で貼り付けたりしてごまかしていたのですが、今回このカバーの下の部分の形状を工夫し、すき間もきっちりと覆うことで防塵対策も兼ねています。

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2009.11.13

電動工具の騒音 実測データアップデート

コメント欄で質問があったのですが、最近アップデートしていなかったことに気付いたので、掲載しておきます。

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ウチの狭い作業小屋で、実際にいろいろな機械を回したときの騒音を測定したものです。
空転時の測定なので、実際の加工時とは異なります。

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2009.11.11

ルータービット折れた

木工の災害事例、ヒヤリハット事例は隠すことなく公開すべしと言うOYA-Gさんの趣旨に賛同し、恥ずかしながらワタシの失敗事例を紹介します。

いきなり脱線しますが、「ヒヤリハット」というのは、災害には至らないがヒヤリとした、ハッとした事象という意味で、冗談のようですが製造業で日本じゅう通用する用語です。ハインリッヒの法則によれば、統計的にヒヤリハットと重大災害の比は300:1であり、300件のヒヤリハットがある職場は重大災害が1件起こってもおかしくない、だからまず第一にヒヤリハットを摘出して減らしていくことが大事、と教えられます。

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本題に戻りますと、先日の小箱の上板および底板をはめるための溝を突いている際に、ルーターテーブルで3mmのビットを折ってしまいました。

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折れたビットとほぼ同型のビットを並べてみました。これだけの大きさの超硬の破片が高速回転ではじかれてすっ飛んでいったことになります。保護メガネはかならず着用するようにしましょう。(目だけでは不十分かも、とも思えてきます。)

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今回、ルーターテーブルで溝を掘る際に、ちょうど良いサイズのビットがなくて3mmのビットで複数回に分けて掘ることにしたのです。この際安全に削るためには、①→②の順に掘らなければなりません。(②→①の順に掘ると図中「A」側だけを削ることになり、ビットの回転方向(赤矢印で図示)を見ればわかるようにいわゆる「クライムカット」の状態になり、材料は力を掛けずともビットに触れた瞬間にビットに引き込まれていくことになります。)

今回は、順番を間違えたわけではなく、1回目の削りの後に確認したらコンマ数mmだけ溝がずれており、わずかにフェンスを戻して「A」側をちょびっと削りたくなっただけなのです。しっかり持っておれば大丈夫と思いましたが、3本目くらいでガツンと行きました。今回はビットが耐えきれず折れて、私自身は事なきを得ましたが、場合によっては材料がすっ飛んでいく、あるいはその拍子に手がビットに触れて怪我をする、などの災害が想定されます。

教訓として、
 ・ビットは溝の幅に合ったものを使う。(溝の幅を手持ちのビットに合わせて設計する。)
 ・欲張って一度に深く削ろうとしない。
 ・クライムカットは避ける。
 ・保護メガネを着用する。

以上です。

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2009.08.05

最初に揃える機械(FW)

Fine Woodworking誌のRobさんが、公式ブログ上で「最初に買うべき据え置き機械」を一つずつ順番に記事に書かれています。現在2番目まで書いてあります。

FW: The Woodworking Life

ワタシの意見は当ブログでさんざん述べた通りです。理由付けになるほどと思われる点もありますので、無許可で抄訳を紹介させて頂きます。

1番目はポータブル自動カンナ。
Which machine first? And why.

・自動カンナは、比較的少ない投資、小さいスペースで、困難かつ重要な仕事をしてくれる。
・350~650ドルも出せば上等。
・何故手押しが1番じゃないかというと、理由は2つ。
  (1)「使える」レベルにある手押しは自動に比べてはるかに高価なこと。
  (2)手でやろうと思うと、厚み決めよりも一面の平面を出す方が簡単であること。
・安い手押しを買ってもどのみち買い換えることになるし、最初から高い手押しを買ったとしても自動がなければ厚み決めは手工具でやらなければいけない。
・自動カンナを購入すれば、カンナかけ済みの木材を買うことと、3/4インチの材ばかりに頼ることの2点から解放される。

2番目はバンドソー。
Machine number two

・2番目はテーブルソーじゃないよ。確かに縦挽き、横挽きには便利だが、用途の広さから言うとバンドソーだ。
・テーブルソーの方が切断面はきれいだし直角も出るが、それらは手カンナで比較的簡単に直すことが出来る。
・曲線切り、リソー、ホゾ切り、製材、などは、テーブルソーでは簡単にはできない。
・大きなスペースを占有しないのも大きな特徴。
・それから、これは説明しづらいが、「手工具での作業」に近いという感覚。テーブルソーだと、セッティングしてしまったら後は「機械が切ってる」って感じだろ。テーブルソー、自動、手押しを使っているときより、バンドソーを使っている方が断然楽しい。
・最近は、昔ながらの鋳造タイプよりも鉄フレームタイプで良いのがある。800~900ドルで、鋳造タイプ+ライザーブロックより、挽き割り高さが大きくて安いものが見つかるだろう。

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ワタシはバンドソー教の信者なので、確か最初にバンドソーを買って次が自動だったように記憶しています。信者としては「手作業に近い感覚」って言うのは、言い得て妙という気がします。最近、特にテーブルソーを買ってから、作業内容も作業する時間帯も、何となく「機械に使われてる」って感じが大です。

Robさんのオススメは多分4番目まで続くと思います。続きを最後のヒントを読んで予想して下さい^^。

「3番目はなんだと思う?言っとくけどテーブルソーはルーターテーブルの下だよ。」

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2009.05.25

注意一瞬・怪我一生・ビデオ2秒

3時のおやつは文明堂。

ToolCrib BLOGより。皆さんも気を付けましょう。

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2009.05.11

【木工と安全】Fine Woodworking's Guide to Safety

雑誌Fine Woodworkingの、「安全」に関する記事のまとめページ。

Fine Woodworking's Guide to Safety

全部英語で申し訳ないですが、日本語でこのようなページが少ないので貼っておきます。
動画もいくつかあり、初心者には手の動かし方が参考になると思います。(・・・手押しはあれで良いんですかね?)

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2009.04.15

【木工と安全】充電器の発火

なんだかんだ言って、充電式工具はやはり便利です。電池の持ちの問題がありますが、充電池2個セットになっているのを買えば、一方を使っているうちにもう一方を充電できるので便利です。

・・・ここまでは問題ないのですが、バッテリーを2個持っている皆さん、充電器にバッテリーを1個、常に充電状態にしたりしてませんでしょうか。
私はしています。

TOOL CRIBで、バッテリーを充電しっぱなしにしていて、工房や家が火事になった事例が伝えられています。

TOOL CRIB: Battery Charger = Fire Starter

この記事はWoodnetというフォーラムのスレッドを引用していますが、このスレッドには下記のような例が報告されています。

(1)ある人のガレージと中の工具が全部焼けた。調査によると19Vの充電器であろうと推定された。持ち主は、バッテリーを充電すると常に高い音がしたと言う。充電が終了すると音は鳴りやんだ。

(2)友人も同じような目にあった。警察?によると、さほど大きくない街だが、同じタイプの充電器で4~5例の火事を経験したという。

(3)隣の住人が、充電式9.6Vのドリルがおかしいので見てほしいと持ってきた。調べてみると、トランスがめちゃくちゃ熱くなっていて、プラスチックの部品がいくつか溶けていた。代品をネットで見つけてあげたら、そのモデルがリコールされていることがわかった。

WoodNet: Fire Starting Battery Charger

TOOL CRIBが提唱する充電器の安全のための8つのTIPS:

(1)バッテリーを夜どおし充電したままにしない。

(2)充電器をラジオと同じスイッチ付きテーブルタップで使う。工房に入ったらラジオをつけて、退出時に消す。
  (もしくはTVなど、あなたがほったらかしにしないようなもの。)

(3)充電器を間欠タイマーにつなげて使う。 (多くはフル充電まで1~2時間で十分である。)

(4)煙検知機を工房あるいは工具の回りに設置する。

(5)バッテリーや工具がリコールされていないか確認する。

(6)以前は何ともなかった充電器が、焦げくさい臭いがしたり音がしたりしたら要注意。

(7)「充電状態で放置しても良い」という取扱説明書がもしあっても、信用しない。

(8)電動工具に保険をかける。


ラジオを使うやり方はなるほどと思いましたが、工房の照明のスイッチで充電器が入るようにしても良いですね。
とりあえず今日からつなぎっぱなしはやめましょう^^;。

今回は全面的にTOOL CRIBブログの引用で申し訳ないですが、重要と思いましたので和訳いたしました。

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2009.04.02

【木工と安全】木工と難聴

オーケストラの演奏者と言えば繊細な音を敏感に聞き分けるイメージがありますが、ヨーロッパを中心に、演奏中に耳栓を装着する演奏者が増えていると数年前に聞きました。スイスなどでは,聴衆に対してもコンサート会場でプロテクタを用意す規制があるそうです。コンサート会場に行くと、入り口にプロテクタ(耳栓)が準備してあったり、販売されたりしているらしいです。音を聴かせるのが仕事なのに、あるいは、音を聴きに出かけているのに、考えようによっては可笑しい気もしますよね。

いずれも、大きな音あるいは騒音が原因となって聴覚障害をきたすことを考慮しての措置です。

騒音が原因となる難聴には2種類があり、よく経験するのは大音量のライブや騒音の大きい電動工具で作業した際に、一時的に聞こえづらくなる聴力低下です。これはいわば耳の疲労のようなもので、しばらく静かな環境で耳を休ませれば直ります。

もう一つは永久的なもので、(耳の回復する間もなく)連続的に騒音に暴露されることにより、徐々に進む難聴です。この難聴は音を感じる器官が壊れてしまっており、現在のところ治療はできない、とされています。

騒音レベルが大きければ大きいほど、また、連続音より衝撃音の方が騒音性難聴の発生率が高くなります。初期には耳鳴りが起こり、比較的高い音が聞こえづらくなることが多いようです。

資料により値は異なりますが、80~85dB以上の騒音がある環境で可能性が高くなるとのこと。騒音イメージ的には「騒々しい工場」以上のレベルということで、私が安物の騒音計で調べたところでは、騒音レベルとしては下記の機械は空転時で既に該当します。

・手押しカンナ、自動カンナ(汎用ユニバーサルモーター)
・手持ち丸ノコ、スライド、卓上丸ノコ
・ルーター、トリマー
・ディスクグラインダー
・テーブルソー

適切なプロテクタや耳栓をすることが唯一の防衛法のようです。
面倒くさいですし、暑い夏などはうっとうしいものですが、徐々に進行し、進行してしまうと治療法がないということですので、是非今日からでも自衛するようにしましょう。

私も最近特に、耳がおかしいのです。
体調の悪い時に特に、人の声程度の音量の音が安物のスピーカーのように歪んで聞こえます。聞こえづらいわけではないので補聴器をすると言う感じではなく、とにかく歪んだ音が不快なので逆に耳栓をしたい気持ちです。(医者にも一度相談しましたがこの症状はあまり一般的ではないようです。)但し、私の場合は症状は学生時代にサークルで音楽(騒音とも言う)をやっていた時から徐々に始まっており、それが原因だとわかっています。

ともかくお互い気を付けるようにしましょう。

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2009.02.12

間違い探し・解説編

先日の動画の16カ所の間違いの解説です。

1.ベルトを緩めるために2バイ材にバケツを載せているのが不安定。
2.「キック」でモーターを始動している点。スターティングコンデンサを換えればいいのに。
3.サンダル履き。
4.カット中に、手を伸ばして届く位置にスイッチがない。
5.クロスカット(横切り)の時にフェンスとマイターゲージを併用している。
6.機械を止める前に切れた材料を押して取り除いている。
7.ブレードガードがない。
8.保護めがねがない。
9.集塵対策がない。(マスクでさえも最初だけ!)
10.切れやんだ刃を使っている。
11.立つ位置が、キックバックで材が飛んでくるゾーンに入っている。
12.手の置き方が悪い。左手で材料を右方向に押している。
13.ベルトガードがない。(あったらあったで始動できないわけだが。)
14.部屋が散らかっている。
15.コンクリの床に材料直置きでドリルで穴を開けている。
16.作業中に子供をそばに座らせている。
   (この子が「キックバックゾーン」に入っているという意見もあるようですが、
   作業者の服が違っているので別な日の撮影ではないかという説が有力。)

にしても、こんなに有名になるとは思ってなかっただろうなあ^^;。

From Sawmil lCreek.

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