カテゴリー「本」の記事

2006.06.29

オークビレッジの入門書

Zzzz最近はトヨタと組んだり手広く展開されているオークビレッジから、入門書が発売になっています。
タイトルは、一生ものの木組みの家具

オークビレッジは言わずと知れた工芸集団で、生意気言うようですが、個人的にはブランドとしての方向はあまり好きじゃないのですが、家具や小物のデザイン自体はかなり、良いなと思うものが多いです。多分、日本人の指向に合っているんだと思う。決して「和風」一色ではなく(一部耳付きや民芸風もありますが)、作りは「洋」なのですが、日本の家屋もしくは感覚にマッチする形を知っているんだろうなと思います。小物も良いですよね。シンプルでさりげなくも手が込んでおり、あんなのがすらすらできたらなあと思います。

本書は、作例を中心に作り方が丁寧に紹介されており、そんなオークビレッジな作品が、順を追っていけば作れるようになっています。前半は小物が中心、後半は上級向けと題して椅子やキャビネットなどが紹介されています。このキャビネットはすっきりしていて良いですね。後半、仕口や道具の説明がさらりと述べてありますが、その辺りをこれだけで理解するのは辛いかなというレベルの説明です。

と言うわけで、木工入門者の1冊目としてはちょっと難しいところもありますが、木工関係の本(特に和書)が少ない現在、久々に本格木工を丁寧に教えてくれる、オススメの一冊です。

オークビレッジもやっぱりルーター使うんだ・・・。

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2006.06.16

週末工房 no.5

WOODY STYLE週末工房 No.5が発売になりました。
今回は、「家族が喜ぶモノ」がテーマの作例が特集です。

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2006.03.11

Tage Frid still teaches...

当ウェブログで何度も紹介し、私のオススメの木工参考書であるTage Fridの"Tage Frid Teaches Woodworking"と言う本は、本来3分冊でしたが、最近は1,2巻が合体して1冊になったもののみが販売され、最後の3巻目が入手できない状態になっていました。

先日、出版元のTauntonから、新たに3分冊をセットにして、さらにDVDをプラスしたスペシャル版が発売されました。既に1、2巻を持っている方は悩ましいところですが、まだ持っていない方はちょっと高いですがぜひ考慮に入れてください。

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2005.12.24

週末工房 no.4

週末工房のno.4が12月に発刊されているらしい。

dekoさんのところで知りました。ウェブログを見ていると、この手の最も忘れやすいインターバルのイベントを、誰かに教えて頂けるのでとても有り難いです。

早速ネットで購入。
日本でこのレベルの木工関連誌は皆無ではないかと思いますし、以前の木工事典とは異なり、「週末に」、「小さいスペースで」、「作業自体を楽しんで」、と、「趣味」と割り切っているところに好感が持てます。

何はともあれ、やはり日本語で読めるのは有り難い。存続と発展を期待したい雑誌です。

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2005.12.23

木工の世界

051223a寒いからと言うわけではありませんが、また本の話題。
早川謙之輔の木工の世界。  先日紹介した木工のはなしが、作り方、材料、道具など、作る側から見た木工を綴った本であるのに対し、次作であるこの本の章立ては、机、棚、盆、建具、...と、作る「もの」で成り立っているように、製作対象それぞれに対する作者の思いが淡々と述べられています。

二月堂という机の注文を受けてその名前のものが分からず、あれこれ探し回ってやっと作った話。
本で偶然見た、「アーサー王子のカボード」を見に、英国まで行ってしまった話。(「カボード」が何かは本書で見てください。)
氏が考えて製作を依頼した盆のデザインを「バケツの底のよう」と言って笑った木地職人が、後に考えに考え尽くして同じデザインに行き着いたという話。 などなど。
堅苦しい話は一つもありませんが、名工と言われた人も、迷いながら作っていたんだなあと思わされます。

「受注生産」に対しては、昔は一つでも条件が入ると途端に自由が奪われたように思い、「作らされて」いるような気がして、もっと自由にのびのび作りたいと考えていたが、ある時点でそれが幼かったと気付き、作りたいように作らせてやる、と言われたらたちどころに困ってしまったに違いないと思うに至った、という作者。この章で彼はこのように結んでいます。

「青臭いことを書いたが、作ると言うことは、達観もいるだろうが、人間の青臭い部分も要るのではないか、と思っている。」

巻末の「木工のしごと・たのしみ Q&A」が何か微笑ましくて良い感じです。

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2005.12.16

コンフォルト

鯛工房ブログさんと、シンプルさんのところで触れられていた、「コンフォルト」という雑誌を見てみたくて、暇を見つけてはほうぼうの本屋をのぞいていたのですが、見あたりません。

で、思いついてAmazonで探してみたら、ありました。(笑)

…インテリアと建築の専門誌みたいですね。道理でドゥーパ!の横にはないはずだ。

で、お目当ての「広葉樹特集」ですが、その部分だけで、国内で入手可能な主要な木材のカタログ、という趣です。以前紹介した原色インテリア木材ブックのダイジェスト版という感じです。但し一つ一つの材料についてはもう少し写真も大きくて詳しく、作例(と言う言い方が正しいのか)も豊富で、とても参考になり楽しめる内容になっています。

雑誌全体としては、かなりハイエンドな層がターゲットのような印象を受けました。

木工を始めた当初に、わけもわからず1枚だけ買った6フィートのブラックウォールナットが、勿体なくてまだ手つかずなのを思い出しました。

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2005.12.11

木工のはなし

ずっと紹介しなければと思っていた本があります。

4101380317 木工のはなし、早川謙之輔 著。
先日亡くなられたのも記憶に新しい、名工の手による著作の一つ。

現在、一般的に入手できる氏の著作は、主に4作として良いと思いますが、一連の著作を改めて見直すと、あたかも「木工」というものを、縦、横、…といろいろな角度から切ってみて、それぞれの切り口から見たらどう見えるかというような、きわめて体系だったアプローチで、「木工」というものを読者に明確に提示しているように思えます。 (黒田辰秋を追悼した1冊を除く。)

この「木工のはなし」は、木工を作る側として、材としての木や、刃物等の道具、木の組み方や乾燥について述べた本。

この人の文章は、全く無駄がありません。ぼやっと読んでいると、あれ、と今読んだ文章を読み返さなければならない時があります。この本の書評か他の本だったか忘れましたが、木工とは削ることである、その木工家が書いた本もやはりその通りである、みたいなことが書いてあって、合点が行った思いをした記憶があります。

ワタシは木工に夢中になり始めて調子に乗りかけた頃にこの本に出会っったのですが、木工の世界とはかくも深遠なものかと、プロというのはそんな甘いもんじゃないなと、がつんと一発やられたように思いましたですよ。どこかのウェブログで、この人の本のせいで独立開業するのが2、3年遅れた、と書いておられた方がいらしたように思いますが、そうだよねそうだろうね、と思います。

と言っても、その辺によくある職人の安っぽい根性論ではありません。木が好きかと言われて自信がないと言うほどの謙虚さで、かつきわめて論理的な語り口です。

図書館で借りて何度か読んでいたのですが、93年に単行本で出版され、2002年に文庫化されましたので、買い直しました。(笑)
木工をする方なら、理屈抜きでうんうんと共感できるハナシもあって楽しめるでしょうし、いろいろ考えるところも多い、私のお気に入りの一冊です。

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2005.11.05

また本の物色

近くに新しく書店ができ、先日冷やかしに行ったら結構大きな本屋であることが判明し、うれしく思っています。
以前あったところはできて程なくしてツブレてしまい、駅前に本屋が1軒もないと言う文化水準の低い状態にあったので、微力ながらワタシも、1500円以上で送料無料だからと言ってアマゾンばかり利用せず(笑)、たまには売り上げに貢献しようと決心した次第です。

4381079825 『手づくり木工事典』手づくり木工大賞で最優秀賞を受賞した経験を持つ加藤晴子さんの手による「はじめての家具作り」は、宮本家具工房の宮本さんも以前薦めておられた通り、なかなか本格的な内容です。見れば、「ビス止め家具を作ってはいるけど、次のステップに行きたい方向けの木工ハウツー本です。釘やビスは使わすに、ホゾ加工で構造をつくります。」とのこと。

ジョンケリーがデザインのお手本とのことで、カントリーではありませんし、「かんたん木工」レベルではないです。

著者は、まえがきで、木工には板物と脚物があるが、脚物から始めるのがよい、とし、以後、一つの作例を完成させるために必要な作業をていねいに解説していく形式になっています。

ワタシもどちらかというと脚物の方が好きで、「木工の基本的な考え方」みたいなものをコンパクトに理解し、木工の面白さを早く味わうには脚物が良いのではないかと思います。最初のうちは、まず何にせよ「全てが直角な6面体」を作ることに尽きると思うのですが、脚物は、板物に比べて削る面積が圧倒的に少ないし、さらに言えば、ホゾがはまるところさえきちんとなっていれば、つじつまは合う訳で。

とは言え、自分の作りたいモノを作るのが一番、が基本とは思いますが。

道具の仕込みのことも書かれており、バランスの良い内容の1冊です。本の作りとしては「たくみ塾」に通じるところがありますが、肩に力が入っていないところが良い感じです。

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2005.10.14

木工技術シリーズ(1) 木工の基本

前回オススメした"The Complete Manual of Woodworking"という本を書いた、Albert JacksonとDavid Dayが、新しく日本語の本を出版しました。期待して第1巻の「「木工の基本」」という巻を読みました。

「木工技術」という6冊シリーズの本で、
「イギリスから刊行されたもので、今回数ヶ国で同時出版されることになった。(まえがきより)」
とのこと。

4882824280…えーと、これはどうなんでしょう。

図版も美しく、道具の使い方や、基本的な仕口などが列挙され、確かに「木工の基本」としてよくまとめられています。が、日本の道具が出てきません。欧米の道具ばかりです。道具の使い方や仕口の加工方法の説明も、欧米の道具が前提になっており、日本のカンナやのみ特有の使い方は出てきません。

イギリスの本を忠実に訳したものと思われますが、この本を、日本語訳してそのまま出版しちゃえという日本の出版社のコンセプトには首を傾げざるを得ません。
木工に興味がある初心者が対象であるとして、そんな人がこの本を手にして、日本にいて明日からどうやって工具を揃えて、木工にトライするのか、と思うと、かなり不親切な本と思います。

仕上げ(塗装)の章は、よくまとまっており参考になる面もありますが、こと塗料については呼称が市場で微妙に混乱しており(売り手の意図的だったりするが)、さらに日本と欧米では商品体系が異なるので、書いてある呼称を頼りに塗料店やホームセンターに探しに行っても、目当てのものが見あたらなかったり、違うものを買ってきたりしそうです。

第2巻以降は見てはいませんが、既に出版されているようで、
(2)木材の選択
(3)工具
(4)ルーター
(5)接ぎ手
(6)仕上げ
と続きます。

「ルーター」あたりは万国共通というか欧米の方が活用が進んでいるので参考になる可能性は十分あるかと思いますが、他の本については、一度手に取られてから購入されることをオススメします。著者のお二人は日本の工具にも造詣が深いようなので、2巻以降はきちんと言及されているのかも知れませんが.......。

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2005.10.09

The Complete Manual of Woodworking

以前の記事で、「木工の基本を学ぶ―新手づくり木工事典」という本が、絶版となった「たくみ塾の木工の基本」の復刻ではないかと見もせずに無責任なことを書きました。案の定、お木楽屋さんのこの記事のコメント欄で、「似ているが、ずいぶん精選された内容になっている」とのことであり、訂正の上無責任をお詫びしなければなりません。

さて、このコメント欄でオススメのあったThe Complete Manual of Woodworkingという本ですが、私もオススメに従って買ってしまいました。

0679766111 …これは良いですね。一言で評するなら「木工の百科事典」という趣です。木工のほぼ全ての技術を大略的に概説することを目的としてまとめられた本であることが全体から感じられます。

一つの記事が1ページか見開きでまとめられており、全ページカラーで図版も豊富で、眺めているだけでだいたい言わんとする内容は把握できるようになっています。ツッコミ不足な点は感じられますが、逆にそれが、読む方を飽きさせずにかつ物足りなさを覚えさせずに読了させるのにちょうど良いボリューム感となっています。

これを読めば木工が完全にマスターできるかというとそれは疑問ですが、この本で「ああこれはこんな風にやるんだ」というところまでを理解した上で、さらに必要に応じて他の本や情報から詳細を学ぶ、というような使い方になるのではないかと思います。ベテランの方には逆に図版を見るだけで、自分に知らなかったノウハウや技術に気付かされ、活用できることになるでしょう。

私のオススメは、この世のあらかたの家具の構造を詳細な図解で示した2章です。基本技術と基本的な仕口を一通り学んだ(もしくは一通り頭で理解した)レベルの人であれば、この章の図解に見るだけで、多くの基本的な構造の家具を作れるようになるでしょう。
051009a  051009c

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