カテゴリー「工具概説」の記事

2009.09.24

ミニマル集塵スタイル

先日、Dust Deputyを使っていて、一瞬ではありますが、自動・手押しカンナってこんなにお気楽なものだったんだ、と思いました。今までずっと、製材、特に自動カンナに億劫さを感じていたのですが、それが木屑のせいだったと再認識しました。(工房が広いとなお良し。)

木工初心者の方が、だんだん本格的になってきて自動カンナを購入しようかという段階があると思います。
その際はそろそろ集塵を真剣に考えた方が良い時期である、とこれからは強くアドバイスしたいと思います。

さて、集塵それ自体は作品の出来映えには表面的に反映されませんし、よほどシリアス木工家でない限り、集塵は最低限で済ませたい、というのが大方の思いではないかと思います。オバQのような袋が付いている据置き型の木工用集塵機を購入できれば良いのですが、予算、スペース、作業スタイルの関係で、そう決断できない方も少なくないと思います。自宅の一部で作業するアマチュアであれば、トータル消費電力の問題もあります(=ブレーカーが落ちる)。

ということで、ミニマルな自分フィットな集塵スタイルを考えようと思うと、第一にソース(動力源)をどうするかの問題があります。
(1)家庭用掃除機で代用できないか?
(2)いわゆる「業務用掃除機」(よくある円筒形の大型のタイプ)で、代用できないか?

以下、ワタシの個人的な経験から、感触めいたものを述べさせて頂きます。組み合わせの問題であり、求める完成度も異なると思いますので、最終的には自己判断でお願いします。

(1)まず、家庭用掃除機ですが、実は手持ち系の電動工具はほとんどこれで集塵が可能です。据え置き機械も含めて、経験上「集塵しないと困る作業」の70%くらいはカバーできると思います。最初のかつ最大の関門は上述の自動カンナです。

出てくる量がとてつもなく多いことと、構造的に家庭用掃除機では吸い込みづらい仕組みになっているからです。ツーステージ化などで自動カンナの集塵を家庭用掃除機で対応しているアマチュアのサイトはいくつもありますが、集塵機構の自作などをよほど上手くやらないと厳しいと思います。

家庭用掃除機とオバQタイプの差は、消費電力(パワー)だけではありません。分かりやすく説明しているサイトとして、下記をご参照下さい。

pongooさん:集塵機 VS 掃除機

簡単には、
『大きい口径から「風量」でごうごうと引くのが集塵機、
小さい口径から「真空度」「静圧」で引くのが掃除機』
というイメージで良いかと思います。

家庭用掃除機で自動カンナが集塵できないのは、「風量」が少ないためであると理解できます(特に大口径(=低抵抗)の場合に)。

(2)次に、円筒形の「業務用掃除機」で何とかならないかと考えます。

一般に自動カンナで必要とされる風量はカタログ値で500CFMで、これは14m3/minにあたります。

下の表に誘導モータータイプの最下位タイプとしてデルタ、業務用掃除機の代表としてFeinとマキタ、家庭用掃除機の代表としてシャープの掃除機のカタログデータを示します。家庭用掃除機をまず検証しようと思いましたが、「吸込仕事率」という値以外に、「風量」、「静圧」については記載がほとんど見当たりません。シャープの掃除機は市価6~8千円くらいのごく一般的なタイプを代表としましたが、どこもだいたい「吸込仕事率」で250~500Wくらいのものがほとんどのようです。

-------------------------
        デルタ    Fein    マキタ   シャープ
        AP300   Turbo I  482(P)強  EC-KP7F
-------------------------
風量(m3/分) 15.4      3.2     1.8      -
静圧(kPa)    1.3      22.4    20.6      -
騒音(dB)     -     max.60    65      62
消費電力(W)  (3/4HP)   1000   1050     1000
仕事率(W)     -       -     170     500
-------------------------


吸込仕事率は、「W」表示なので電気の量かと思いますがそうではなく、下の式で表される値です。

吸込仕事率(W) = 0.01666 X 真空度(Pa) × 風量(m3/min)

日本の掃除機にはJISで表示が義務づけられており、特徴的なのは実使用時を想定して測定されているようです。そのため、「風量」「静圧」の表示とは整合しません。(マキタがわずかに「風量」「静圧」「仕事率」を全て記載していますが、かけ算しても仕事率には一致しません。)

業務用掃除機はカタログ値では風量の面で圧倒的に不足していますが、雑誌によれば、海外ではShop Vacuumを自動カンナの集塵に使うことは珍しいことではないようです(一般的ではないと思います)。それで、ワタシ自身は一抹の不安はありながらもFein Turbo Iを購入してトライしたのですが、結果オーライで全く問題なく集塵ができています。あくまで感触ですが、短い距離で直結する前提ならば、Feinでほぼ問題なくどの機種でも自動カンナの集塵ができるのではないかと思います。

自動カンナに対しては、(1)自宅のお古の掃除機、(2)マキタの型落ち円筒形集塵機、で集塵をトライした経験があり、その間で比較すると、(1)の家庭用では時々ホース詰まりが発生し (2)のマキタでも「ごそっ、ごそっ」とカタマリで吸い込まれていく感があったので、その点ではFeinの方が数段 頼もしいです。この「感触」が本当ならば、Feinの独自の技術で2倍近くの「風量」を叩き出していることが寄与していると思います。が、マキタの方は相当使い込まれていたので、公平な比較ではないです。

シリアス木工家あるいはプロの方から見ると笑われそうな話ですが、このレベルで悩んでいる方も実は多いと思います。Feinの回し者ではないですし組み合わせの問題ですので、結局のところ自己責任でお願いしますということになってしまいますが、集塵と家庭のバランスに悩むご同輩に、少しは参考になるかと思い、数字データと合わせて「感触」を記載しました。

【参考】
ミネベア:技術資料 風量・静圧の測定と単位の換算
mokkinさん:アマチュア木工の集塵シミュレーション (かなり難解)

※ 上述のpongooさんのサイトを見ると、オバQ集塵機が万能ではないことも明らかです。本来は掃除機と集塵機、2台を用意して使い分けるのが好ましいと思いますが、Feinなら一台で使い回しできます。その意味でもなかなか絶妙な選択ではないかと思います。

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2009.06.25

アメリカのモーター規格(1)

アメリカのモーターの寸法関連の規格をググって調べています。

日本の規格については松本さんに無理をお願いして解説していただきました。
T's韓国日記:三相誘導電動機の規格

アメリカについて調べたところは、簡単に言うと、アメリカの誘導モーターは、NEMAという団体がモーター寸法の規格を作っており、数字とアルファベットからなる記号を取り決めているようです。交換の際は同じ記号のものを入手すればよい、ということになっており、その記号はモーターのラベルや銘板、あるいは説明書に、その記号が書いてあるということらしいです。


いくつかある中で、最も理解しやすかったサイトの説明http://tristate.apogee.net/mnd/mfnffsd.aspを訳してみました。

<フレーム寸法の指定>

NEMA(National Electrical Manufacturers Association;アメリカ電気製品製造業者協会 は、モーターフレームの様々な寸法と取り付け方法を記述するために、標準化された数字とアルファベットの記号を割り当てています。NEMAフレーム寸法が標準化されているために、モーターを交換する場合は、メーカを問わず、同じフレーム番号のものを選べば、取り付け方法や取り付け穴の位置は一致することになります。

NEMA標準には、フレーム寸法記号は、モーターのフレームの寸法、取り付け方法、その寸法に関する情報が提供されています。フレーム寸法記号は、モーターの電気的な特性を直接的に示すものではありません。しかし概して、フレーム寸法記号が大きければ、モーターの物理的な寸法は大きくなり、馬力も大きくなります。

様々なやり方で取り付けができるように、同じ馬力、同じサイズのモーターでも、異なる寸法のフレームに取り付けられているモーターがたくさんあります。フレーム寸法記号は、接頭文字(アルファベット)、フレームナンバー(数字)、接尾文字(アルファベット)で示され、たとえば「EF56C」のように表記されます。

皆さんが目にするフレーム寸法には、3つの異なる体系があります。1954年より前、オリジナルとして知られる最初の体系が存在しました。1952年、NEMAは材料や製造技術の進歩に対応するために、「Uフレーム」と呼ばれる新しく作られた体系を採用しました。1964年、現在の新しいNEMA規格が採用され、今日NEMAが取り決めるフレームは「Tフレーム」と呼ばれています。

(フレーム寸法記号のうち、)フレームナンバーは、2桁あるいは3桁の数字で表されます。例えば、48、56、145、215などです。

もし、銘板に2桁のフレームナンバーがあれば、そのモーターは1馬力以下です。そして、その数字はD部寸法(駆動軸の中心と台座の底部中心と間の距離)が、16分の1インチ単位で示しています。例えば、EF56Cフレームモーターは、1馬力以下であり、D部寸法は56です。56に16分の1インチをかけて、D部寸法は3.5インチである、と換算されます。

フレームナンバーが3桁のモーターは、1馬力以上のモーターであることを示します。D寸法を計算するためには、最初の2桁の数字を4で割ります(インチです)。EF145CフレームのD部寸法は、14÷4で3.5インチになります。

D部寸法が大きくなるに従い、モーターは大きくなります。3桁目の数字は、モーターの長さを示します。台座に平行な取付穴間の距離を示しています。

NEMAフレーム記号の前に付けられている文字は、製造業者により任意に付けて良いことになっています。NEMAでは特定な意味を与えていません。その重要性と意味は製造業者によって異なります。上述の例では"EF56C"の"EF"は、製造業者によって付けられ、製造業者で何らかの意味を与えられています。

Fnffsd02
Fnffsd03

【寸法】
A:お尻から見た際の、台座の外形寸法
B:側面から見た際の、台座の外形寸法
D:駆動軸の中心と台座の底部との距離
E:軸の中心線と台座の取り付け穴センターの距離
F:Eと同様であるが、側面から見た際の、軸の中心線と台座の取り付け穴センターの距離
BA:シャフト端部から最も近い取り付け穴センターと、シャフトの最初の点までの距離
U:シャフトの直径
V:シャフトの長さ

今、追加情報、および一覧表のようなものを探しています。見やすいものがあれば次回紹介します。

但し、予想通りインチ規格なので、日本のミリ規格と合致させる、即ち日本のモーターに載せ変える、なんてのは難しいような感じですね・・・。

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2009.04.27

新・最初に揃える道具(2) - 電動ドリルドライバー

同じ題名で2004年2月に記事を書いているのですが、今回はその再掲(アップデート)です。
さすがに情報が古すぎて現在の事情にそぐわないと思い、書き直します。では・・・

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木工やDIYを始めようとする方には、電動のドリルドライバーは最初に購入を考えられるものだと思います。そこまでしようと思わなくても、組み立て式の家具や家のメンテナンスなどにも一家に一つあると非常に重宝します。

ホームセンターに行くと、驚くほどたくさんの種類の電動ドリルドライバーがあり、3~4万円以上する機種が平気で並んでいます。私見ですが、これらの機種はプロ用であって、アマチュアはそこまで高価なものは必要ないと思います。たくさんあり過ぎて売場でワケ分からなくなった人のために、確認すべきポイントを下記します。(分かっている人は読み飛ばしてください。)

1.インパクトか否か 
インパクトドライバー周期的に打撃を与えて、長いネジを楽にねじ込めるようにする機能です。ウッドデッキ作りなどのDIYにはオススメで、手首の疲れ方が全然違います。但し1台目に購入するとすれば、広範囲に使いたいと思いますので、インパクトなしを選ぶのが良いと思います。

2.コードレスか、コード付きか
現在売られているのはコードレスが優勢で、コード付きは売り場の片隅に追いやられていますが、ことアマチュアに対しては意見が分かれるところです。「屋内で半径数mでアマチュアが木工するくらいならコード付きで十分。」という意見もありますが、個人的には一度コードレスを使い始めると便利さのあまり戻れない感じはします。個人的には「趣味なんだから自己満足で多少高い買い物してもいいじゃない」、という意見に賛成です。

但し本当に予算が限られているならば、コード付きを検討する価値があります。ホームセンターでよく安価な無名ブランドのものがありますが、これのコードレスは概してオススメできません。私の経験の範囲ではいずれも極端に電池が弱く、その価格帯ならばコード付きを買う方が賢明です。

3.電池の種類(コードレスの場合)
コードレスの場合、電池が主に3種類くらいあります。古い順に書くと下記の順になります。
(1)ニッカド電池
(2)ニッケル水素電池
(3)リチウム電池

最も古くからあるのは、ニッカド電池タイプです。メモリー効果があることと、自己放電があること、電池が大きく重たくなることが欠点です。但し、価格的には一番こなれており、今でも売り場に並べられています。

ニッケル水素は、ニッカドに比べてコンパクトになる長所があり、一時期置き換えが進みましたが、その後リチウム電池が出てからは、一足飛びにリチウム電池への移行が進んでおり、少なくともこの業界においては残念ながら過渡期の製品という感があります。メモリー効果はあり。

リチウム電池は、電池がさらにコンパクトになり、かつメモリー効果が小さく、自己放電も少ない、と良いところだらけですが、現時点値段的にはアマチュアにはちょっと届かない価格帯になっています。満充電で保管すると良くないらしいですが、実害のほどは分かりません。

4.パワー
パワーについては、ニッカドでは12Vが一般的です。軽作業が中心なら9.6Vでも十分だと思います。リチウムはニッカド比、一ランク上以上のパワーが出ると謳われており、今は10.8Vが主流です。(海外では従来の10.8Vを指して12Vと呼称する動きもあるようです。)

さて、以下は全くの私見のオススメですが・・・

コードレスであれば、(1)インパクトなしで、(2)あまり安価なタイプは避け市価1万円台前後、(3)9.6~12Vくらいの、(4)そこそこ名の通ったメーカーのを買っておけば、アマチュア用には間違いはないと思います。当然価格帯としては現在はニッカドが前提になります。

シビアな使い方をしなければメーカーの優劣など出てこないと思いますので、むしろメーカーを限定せずにセール特価品を狙う、という考え方の方が良いと思います。型落ち品だと数年後に電池を交換しようと思った時に電池が売ってない、なんてことが想像できますが、どうせその頃には飽きて新しいのが欲しくなってるでしょう?(←ワタシ^^;)

で、最初はインパクトなしのドリルドライバーを使ってみて、必要になれば、次に12Vくらいのインパクトを同価格くらいで考えれば良いと思います。

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2009.03.06

トライアックによるスピードコントローラー

今日は電気の話題です。電子工作少年レベルで知識が止まっていますので、間違いがあればご指摘下さい。

最近、手持ち工具で速度を可変できるタイプが出回っています。

汎用モーターを用いた電動工具は、電圧を変えることで回転数を変えることができ、速度を変えることは電圧を変えることに他なりません。電圧を調整する方法はいくつかありますが、制御しやすいのはトライアックを用いた方法で、現在の速度可変タイプの手持ち工具のほとんどがトライアックを用いています。

トライアックは、トランジスターのような半導体部品の一種です。交流の波形の一部を「切り取る」ことにより、電圧の「平均値」を変化させます。交流電圧は50Hzなら1秒に50回、60Hzなら1秒に60回極性が変化しますが、トライアックはその波形を見て、「0Vライン」をクロスするその瞬間から、どれだけの時間波形を「切り取る」かを「タイマー」で決めます。「切り取られた」後は入力電圧をそのまま出力に流しますが、「0Vライン」をクロスした瞬間にまたその「タイマー」をリセットし、次の波形の「切り取り」を開始します。

このように、交流の波形の何分の一かを切り取ることで電圧をダウンさせるのがトライアックであり、原理上、入力電圧以上の電圧を発生することはできません。また、原理上もっぱら交流用であり、直流電源を制御することはできません。

文章では説明が難しいですが、実際の波形の写真を示します。
先日の自作のトライアックスピードコントローラーをモーターにつないでオシロスコープで電圧をモニターしています。

1104v
ボリューム全開状態。既にちょっと欠けてます。テスターでは104Vを示します。

293v
ボリュームを少しずつ絞っていきます。93V。

367v
67V。

446v
46V。

527v
27V。この段階で、モーターは停止しました。

さらにボリュームを絞るとテスターの電圧指示は19Vまで下がりました。

かなり急峻な波形になるので、周囲に雑音をふりまく場合があります。また、コンデンサを用いている機械には、波形の立ち上がり時に大電流が流れますので、悪影響を与える場合があります。

秋月電子:トライアック万能調光器キット(40Aタイプ)

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2008.12.16

洋カンナの分類

洋カンナは、金属的な機能美があって見ていて飽きないですが、種類がいろいろあってどれがどれやら分かりづらいです。今回は基本的な平カンナを中心に、簡単に呼び名と用途をまとめてみます。

その前に、洋カンナは言わずと知れたスタンレーというメーカーが有名ですが、このメーカーはカンナを体系立てて番号を付けたことでも知られています。この体系はスタンレーナンバリングシステムなどと呼ばれ洋カンナで共通に用いられ、番号を聞いただけで用途と大きさが分かるようになっています。(以下、SNと略します。)

(1) Jack Plane
長さ12~15インチの大型のカンナ。平面を出すために用いられます。刃口は大きく空いており、荒削り用です。
SNでは#5。#5 1/4は手の小さい人用のちょっと小型版。#5 1/2はちょっと大型版です。

(2) Jointer Plane
長さ18~24インチの長いカンナ。名前の通り、矧ぎ面を正確に真っ直ぐにするためのカンナです。長い方が正確に削れ、30インチに及ぶものもあります。
SNでは#6が18インチ。#7、#8と徐々に長くなり、#8は24インチになります。#6はFore Planeと呼ばれることもあります。

(3) Smooth Plane, Smoother
上のカンナよりはかなり小ぶりで、仕上げ用に使われます。平面を形成するよりも、きれいに表面を仕上げる目的で設計されており、刃口は狭く、高級品では刃口を調整できる機構が付きます。逆目を防ぐため、チップブレーカー(日本で言う裏金)は刃先ぎりぎりにセットします。
SNでは#3が8インチ、#4が9インチ。

(4) Block Plane
ブロックプレーンは、木口を削るためのカンナです。向こうの肉屋さんは肉の塊をブッた切るのに木口が天板に出るように矧いだブロックのようなまな板を使うのだそうですが、これをブッチャーズブロックと言い、ブロックプレーンの名前はそこに由来しています。木口をスパッと削るために刃は寝かせて仕込まれます。そのため通常のカンナの反対の面(日本で言う鎬面)を上にして差込みます。チップブレーカーはありません。刃の角度はスタンレーの基本は20度で、ローアングルは12度です。
SNでは多くの番号がブロックプレーンにあてがわれていますが、一般的なのは、#9 1/2、#60、#65らしいです。が、複雑すぎるのか、ブロックプレーンだけは番号なしで売っているところが多いです。

手始めとしては、Jack PlaneとSmooth Planeの2つくらいからスタートされるケースが多いと思います。

ワタシはカンナは和カンナ派なのですが、洋カンナはヤフオクでサビサビのを安く落札して再生して2台持っています。正直、いずれもあまり出番はありません(笑)。

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2008.12.10

電動工具入門講座

DIY CITYというサイトに、わかりやすい電動工具の入門的講座がありましたので紹介します。

木工では一般的ではないものも含まれていますが、どんな工具があるのかわからない初心者には親切な解説になっていると思います。使う上でのノウハウや、一部TIPS的なアイデアも含まれており、参考になります。というかウチみたいな個人の偏見ブログを読むくらいなら、こちらを読む方がずっとよいと思われます。

週末職人工房

オススメ機種を例示することはしておらず、読む方としては片手落ちな印象も受けますが、サイトの性質上やむなしというところでしょうか。
ビスケットジョイナーとか、手押し、自動カンナあたりは写真にもっぱら海外の製品が登場します。日本勢にも頑張ってもらいたいところです。但し、海外製品であっても全て、DIY CITY内のお店のいずれかから購入できる、という形になっています。

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2008.10.30

カンナの下端調整(3) どちらが正解?その3

このトピックスの締めくくりとして、和カンナの仕込みについてまとめます。
Plane3

上の図表は、和カンナの用途別の仕込み方をまとめたものです。特殊なカンナは省略しています。
カンナは、基本的には荒仕工、中仕工、仕上げの3種類を持つように教えられます。順に見ていくと、荒仕工は効率よく荒削りできるようにすき取る幅も大きく取ります。中仕工はすき取る量が荒仕工に比べて小さくなります。それと同時に一部の記述では、台頭も接するようにして「3点当たり」とするようにと書かれています。これはこの中加工の段階で、平面を出すことを重視していると考えられます。

当然、仕上げカンナも「3点当たり」にするのかと思いきや、再度2点当たりに戻っています。これは、あくまでも仕上げカンナは「凸凹を均す」というよりはむしろ面の調整であり、薄く均一な削り屑を出すことが大切であると理解できます。

基本的には以上なのですが、さて、今回のエントリーをまとめるために昔の教科書を引っ張り出したりして、初めて気が付いたのですが、「継板材用」、あるいは「板材(接いだもの)用」として、刃口をわずかに浮かせるセッティングがごく一部であるようなのです。

上表には一番下の欄に記載しましたが、(b),(c)の部分が浮いており、他の部分が接している状態で、全体にはなだらかに凹になっている状況で、上の図とは少し違ったイメージになります。最初は「矧いだ板」用のことかと勘違いして、矧ぎ面の目違いを払うのかと思いましたが、矧ぎ面の目違い払いならばこのセッティングは違うと気付きました。

今のところ、「接ぎ」という漢字およびその仕込み方から考えて、組み手で組んだところ(箱物の外側の四隅みたいなところ)を払うためのカンナかな?と思っています。角だけちゃちゃっとやるのであれば、このセッティングは確かに角でも安定して削れ、角がダレることなく綺麗に仕上がるような気がします。(その代わり、角しか削れない(はず)。)

本当のところはどうなのでしょうか?ご存じの方がいらしたら教えてください。

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2008.10.29

カンナの下端調整(2) どちらが正解?その2

先日紹介したように日本のカンナは、一部の用途を除き、刃口と台尻を材に接するように仕込み、この2点を特に重要視しているように思えます。特に刃口はを台直し(台の修正)を繰り返していくとだんだん広がってくるのですが、これを嫌ってある段階で刃口を狭くなるように埋木をする手間を惜しまない方も少なくないようです。

対して西洋のカンナ(洋カンナ)はどのように仕込むかというと、実に簡単です。前から後ろまで真っ平らにする、それだけです。

相当の「工具フェチ」と私が勝手に目している英国のDavid Charlesworthは、2004年秋のFine Woodworkingで、洋カンナの仕込みについて詳説しています。彼らしくあれこれと調整ポイントを書いていますすが、こと下端については、「マジックで横線を4本引いて、それが全て消えるまでしつこく定盤上でサンディングする」としか記載していません。つまり、真っ平らです。

和カンナの仕込みを少しでもかじった人なら、「仕上げカンナならいざ知らず、それでホントに削れるのかな」と思うかも知れませんが、実は全く問題なく削れます。

Plane2

上の図は和・洋のカンナの下端調整を示します。
和カンナは一部の用途を除き、刃口の手前と台尻が接するように調整します。本来はこの刃口~台尻間は真っ平らでも良いのですが、一部の用途以外は、中間はわずかにすき取ってしまいます。この2点で「仮想平面」が形成され、それが基準面となります(青矢印部)。

わずかに取る理由は明確ではありませんが、私の考えを含めて三つくらい挙げられます。

一つは台は所詮木なので多少狂いますが、このように点(あるいは線)で仮想平面を形成することで、多少狂ってもある程度は吸収できるようにしているのだと思います。二つ目は、この刃口~台尻の部分は、カンナがかかっていない未加工の「不整な面」に乗ることになるので、凸凹があってもあくまでも刃口と台尻が常に接する状態をキープしたければ、クルマで言う「底スリ」をしないよう、ジープのように接する部分以外の車高(ロードクリアランス)を上げておく必要があります。またもう一つは、台が木なので力を思いっきりかけるとたわみますので、力を思いっきりかけるカンナ(荒仕工、中仕工)ほど、たわむ分を凹ませておく、という意味もあるのかも知れません。


さて、対して洋カンナは、全面をべたべたに平面に仕込みます。そして、押して使います。私の考えですが、刃の位置と力をかけるポイント、および前後の面積比から考えて、基準面は実質的に、刃より後側の方が主に基準面になっていると思います(青矢印部)。洋カンナは押して使いますから、この部分はカンナがかかった後の加工後の面に乗ることになります。

即ち、和カンナは未加工の面を基準面にして削っているのに対し、洋カンナは加工後の面を基準面にして削っている、という点が決定的な違いということです。

上記から、洋カンナの下端がべたべたの平面でも問題なく削れるのは、台が金属なので狂いおよびたわみがないこと、そして、基準面がカンナ加工後の整地後の面に乗っていること、さらに、刃の出方をネジで微妙に調整できることの3点のおかげではないかと考えています。

(10/29 後半部分 少し追記しました。)

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2008.10.27

カンナの下端調整(1) どちらが正解?

081027b_2
上の図は、稚拙で申し訳ありませんが、機械の「手押しカンナ」のセッティングの基本の考え方を示す図です。右側の定盤に材料を乗せて(送り側定盤)、右から左に送ると材料がある厚み分削られ、左側の定盤に乗ります(受け側定盤)。この時に、図のように削り代と同じだけ受け側の定盤を高くしておくことで、削った後の材料がそのまま真っ直ぐに受け側定盤に乗り、途中で上下にぶれることなく、端から端まで真っ直ぐな材料が得られます。

081027a1_2
上の考え方は理屈は通っていますが、日本のカンナをある程度習った方なら、ちょっと違和感を感じると思います。日本のカンナは、一般的には上の図のように、台頭=削った後の材料が触れる側を少しだけ空くように仕込むのが通常だからです。

台が狂って台頭が出っ張ると、途端に調子が悪くなります。理屈はともかく、不思議と台頭は空いていた方が良く削れるのです。(用途により接するように仕込む場合もありますが、またの機会に後述します。「接する」を越えて「不正に出っ張っている」と読んで下さい。)

以下は私の考えですが、引いて使う和カンナの場合、台頭側の台は普段は定盤としては機能していないというか使っていないのだと思います。(構造強度的な面を除いて、なくても良いということ。)あえて使うとすれば、カンナの引き終わりのわずかに数十cmはどうしても台尻側は離れてしまいますので、最後の引き終わり部分に、ここの部分を使います。

初心者の方は、引き終わり部分だけで削れすぎて凸に、あるいは角がダレてしまうことで悩む方が多いと思います。これは台尻側が離れてしまってカンナが不安定になるために起こる現象です。このことを頭にイメージして、引き終わりだけは力のかけ方を変えて、「真ーっ直ぐ後ろに引ききる」イメージで引っ張るか、あるいは台を下に押さえ込んで引いてきたところを、最後だけ、重心を移して台頭の部分を下に押さえ込んで、台頭が材料に接するようなイメージで引ききると、このありがちなクセを克服することができます。

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2007.01.18

据え置き機械の導入(9) - ハイブリッドソー

久しぶりに「据え置き機械の導入」の続き。

746x永らく多くのアマチュア木工家のあこがれであったコントラクターズソーですが、ここ数年ハイブリッドソーと呼ばれるクラスが認知されるようになってきました。

ハイブリッドソーの「ハイブリッド」は、いわゆるキャビネットソーとコントラクターズソーの混血と言う程度の意味だと思いますが、ともかく、両者の中間のクラスを指します。

コントラクターズソーは、特徴的な点として、大きなモーターがボックスから背面にぶら下がって、自重でベルトに張力をかける仕組みになっています。よって、前から見るとよくわかりませんが、裏面や底面はがたいていの場合「フタ」がなく、がら空きになっています。
この方法はベルトに張力をかける構造として簡単にできますが、モーターが背面に思い切り飛び出るので壁に押しつけて収納できず場所をとること、さらにもっと重要なのは、どうしても背面はがら空きになり集塵効率が落ちることの2点が、大きな欠点としてあげられます。

キャビネットソーは、テーブルの下はクローズキャビネットになっており、多くの場合立派な吸塵口が装備されています。反面、重量は重くフェンスも大型になりますので簡単には移動できませんし、価格的にもアマチュアではかなり気合いが入っていないと購入できないようなシロモノでした。

ハイブリッドソーは明確な定義はなく、各社によって思想は異なりますが、概ね下記の点で「ハイブリッド」であると見なされます。

(1)モータが背面に飛び出さず、テーブル下に配置されている。
(2)駆動系はコントラクターと同様の機構を流用しており、キャビネットで支持されておらず、テーブルにぶら下がっている。
(3)ノコ刃の下ががら空きではなく、箱形になっており、集塵に対して考慮がされている。
(4)大きさ(サイズ)は、コントラクターと同程度で、横挽き幅で言えば30インチクラスが主流。

最近までは(2)が最も厳密な定義と考えることができましたが、一部キャビネットソーと同様、キャビネットでモーターを支える機種が同価格帯で出現しており、ほとんど「キャビネットソーの軽作業版」としか表現できない状態になりつつあります。

購入する側から言えば、集塵がしっかりできることと、背面がすっきりしてかさばらないこと(冷蔵庫の宣伝みたいですが)の2点に魅力を感じれば、価格差はコントラクター側に限りなく近くなりつつあり、検討する価値は十分あります。各部の重量及び剛性アップによる精度アップも期待できます。反面、コントラクターでもぎりぎり厳しかった「重量」が問題としてクローズアップされてきます。100kg代後半の重さとなる機種が多く、購入時あるいは移動時、一人で運ぶのはかなり困難になりますので、家族も当てにできないような孤独な趣味の木工家は、購入前に運搬方法は考慮すべきと思います。もちろん価格も問題ですが。
あと、コントラクターはがら空きでツーツーであるが故に逆に集塵機なしでも、木屑はそこそこ下に落ちていってくれますが、ハイブリッドは下手にクローズになっている分、集塵機なしでは木屑が吹き上がってくるようですので、しっかりした集塵設備が必須になってくると考えます。


参考文献: TOOLS ON THE TRADE ONLINE

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