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2010.03.13

「学ぶ」先に見える境地

久しぶりに「ワールド」行きますヨ。一部ネタバレ注意。

今の住んでいるところに、歩いて3分のところにシネマコンプレックスがありまして。
当然行きますよね。  で、私も見ました。「アバター」。

賛否両論あるようですが、私は映画はあまり詳しくないので、総じて単純に楽しめました。そもそも、あまり難しいのは付いていけないし、眉をしかめて深刻な顔して観るようなのは性に合わないのです。まぁ、根本は映像美、というか、「描きたい映像」あるいは「世界の創造」への監督の執念、とでもいうか、もういっそそういう設定にしてしまえばもうオレのやりたい放題できるじゃん、と。それをみんなで「ほえー」「すげー」と単純に楽しむのが正しい姿勢だと思いました。

で、印象的なシーンの一つに、異民族(異星人?)と万難を排して接触し、彼らの生活様式一つ一つを学び、その一環として空を飛ぶ方法を苦労して習い、飛べるようになった暁に歓喜の声を上げて空を飛び回る、というシーンがあります。

映像の迫力もさることながら、圧倒的な映像美の中を主人公が爽快に飛び回る姿を見て、「学ぶ」ことの意義ってこういうことなんじゃないかなあ、と思って身震いする思いがしました。

私の周辺の「最近の若い人」は、言うほど馬鹿にできるものではなく、当時の私に比べて総じて賢く、熱心です。が、「なぜそれをするのか」「それをするとどういう利点があるのか」をやる前から明確にし、それをモチベーションとしたがる傾向があると感じます。「先読み」ですね。スマートではあるのですが、そのときの本人の判断基準でやる価値がないと判断されたものは、その時点でそのまま放置されてしまいます。「学ぶ」ことに対しても同じです。ワタシらが半強制的に何の疑念もなく教え込まれたことも、「どうして学ばないといけないのか?」という疑問を、恐らく平常的に持っているようです。

卑近な例では、微分積分をマスターしても日常生活で使わないでしょ、とか、炎色反応を覚えてなくても花火は綺麗だし、とか言うのは確かに否定できないのですが、その美しさ?に魅入られてそれで飯食ってる人もいるわけですし。アバターの彼も、今回の「策略」の過程で、あんな原色あふれる美しい世界を意のままに飛べるようになるなんて、よもや思っていなかったと思います。

いずれにせよ、ちょろっと「体験」」してわかったフリするくらいではダメで、やっぱり強制かどうかはともかくある期間一定以上の苦労や努力をしたその先に、「わかった!」「できた!」「すごい!」っていう類の興奮、快が待っていると思うのです。そうすることでちょっと自信がついたり、あるいはそこまで学ぶことによって初めて「次の地平線」が見えてきて、もっとあそこまで行けるといいなという次の衝動が湧いてくるんじゃないか、と。私自身はもう既に凝り固まっていますが今振り返ると、そんな小さな事象たちがたくさん積み重なって、今の「自分」を形成しているような気がしてなりません。

恐らく、空を飛べない人に空を飛べるようになった時の爽快さを伝えるのは、言葉を尽くしても難しいことだと思います。だから、その時点で自分が損得を先読みできることってのは、たぶん結局自分の手の中にあるものを越えることはないと思うのです。グチは努めて言わないようにしていますが、今の教育は個々のバラツキを押さえようとする余り、子供達の能力を信じることなく、この一番大事な「わかった!」「できた!」という「快」を教えることを忘れているように思えてなりません。ものづくり大国、技術立国を標榜し続ける意図が日本にあるならば、スーパーコンピューター以外にも価値基準を見直さないといけないことがもう少しありそうです。サラリーマンの人は、「成果主義」というお題目に立脚した、今ドキの部下に対する近視眼的な接し方もね。

掃除やカンナかけや段取り作業を延々とさせられた大工さんや職人さんの、昔の苦労話や今の世を嘆く談話にふれるにつれ、以前は古クサ・・・、と思っていたのですが、最近はそんなことを考えたりしています。

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木工雑感」カテゴリの記事

コメント

FORESTさんお久しぶりです。
機械木工主義には耳が痛いですね・・・最近復帰しましたが、椅子を作り始めてから機械だけでは出来ないこと(大型NCでもあれば別ですが)を感じてます。

投稿: mokkin | 2010.03.13 20:02

mokkinさん お久しぶりです。

mokkinさんはすごい勉強家だと思いますヨ。機械とか手工具とかは全然関係なしで、趣味のDIYerは皆さんそうだと思います。

またHPの更新も再開されたようで、喜ばしい限りです。ネットの更新を休まれていただけで、実生活ではもっと先の地平線に行っておられた?ようで、また楽しみに拝見したいと思います。今後ともよろしくお願いします。

mokkinさんHP: http://www.mokkin.jp/

投稿: forest | 2010.03.14 00:11

こんにちは、とても興味深く拝見いたしました。
読みながら、思わずウンウンと頷くことしきりです。

私自身も先読みの傾向はあり、目的や得られる成果などを先に明確にし、そこから逆算するように行程や方法論を考えるという性癖があります。

合理的・・と言えばその通りで、会社員のときはわりとこのような感じで過ごしていました。

ところが、木工となると、このようなアプローチが全く通用しない場面にしばしば遭遇します。
刃の研ぎが好例で、いくら工夫してもうまく研げず、たまらず先生に質問したところ・・
「指紋が消えるまでやれば、誰だって研げるようになるさ」とのこと。

そんな~ と思いましたが、ヤワな合理主義者の小手先の知恵など、刃の研ぎにはあまり役に立たないことだけははっきりしていました。

そして今・・
だいぶ指紋が薄くなり、多少はましな研ぎになってきたのかな? などと、思ったりします。

人生のある時期において、なにかを遮二無二やり続けるという愚直な経験は、その後、いつの時か有形無形の果実となって人をワンステージ上へと押し上げる原動力になるような気がします。

このような貴重な体験ができたのも、木工へ進んだおかげかもしれません。


そんなことを思いつつ、息子達へ、さて、具体的にはどのようにこれを伝えていけばよいのか?
などと、迷える日々でもあります。

悩みは尽きません。

投稿: 栗原@simple | 2010.03.17 01:12

mokkinさん、復活ですね!
木工は、永眠したかと思っていました(^^;
HP覗いてみます。

投稿: monaco | 2010.03.17 19:04

栗原さま

駄文にコメントありがとうございます。子供には強烈でなくても「成功体験」を与えてやりたいですが、それには強烈な「失敗体験」が必要だと最近思うようになりました。(与えてやる、という言い方が既に手を出しすぎなのかな~。)

monacoさん

私の読書感想文をスルーして、そっちに飛び付かれたのは恐らく正しいです(笑)。HPも休眠前の2倍くらい濃密になっていて驚きました。^^;

投稿: forest | 2010.03.18 02:51

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