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2009.09.15

勝手に帰ってきたツールレビュー(6) 卓上角ノミ盤

アマチュア向けの木工機械をあれこれ紹介する、というのがこのブログの当初のメインテーマでありました。
「勝手にツールレビュー」と銘打って細々と紹介してきましたが、この業界、2、3年放っておいても状況が変わらない機械もあれば、ある機会にバタバタと変化し過去記事を読んでもらっても情報が通用しない(紹介した機種が存在しない)機械もあります。

前置きはそのくらいにして、本日は角ノミ盤の個人的レビューです。

つい最近まで、アマチュア用としてはDELTAかJETのほぼ2択で長らく変化がなかったように思いますが、残念ながら現在DELTAは、日本国内のショップからは入手できなくなってしまっているようです。日本のメーカーはと言うと相変わらず、なかなか手頃な機種がないのです。

角ノミ盤の購入に際して注意しなければならないのは、「ブッシュサイズ」あるいは「ブラケットサイズ」で、これは角ノミの外側のチャックする部分の四角の径です。日本の角ノミ機は3/4インチ(19.1mm)、アメリカのは5/8インチ(15.9mm)が標準になっています。イギリスは日本と同じ3/4インチがメインです。この径が異なる刃は原則装着できませんので注意が必要です。

(1)Steel City MW25200JP ~1/2インチ ブッシュサイズ:未確認(多分アメリカ式=5/8インチ)
フェンスとテーブルエクステンション、材料固定のためのストックローラー(丸型の材料押さえ)が付属。
リブロスデルムンドさんなどから。

(2)JET角ノミ 日本版 ~1/2インチ ブッシュサイズ:5/8と3/4インチ
Jet
オフコーポレーションさんなどから。フェンスのみ付属。

(3)KERV 軸傾斜角ノミ盤 ~1/2インチ ブッシュ:5/8インチ
オフコーポレーションからはKERVブランドで、ちょっと珍しい軸傾斜タイプがあります。フェンスとバイスが付属。
フェンスが鋳造で各部カッチリしてそうで好印象ですが、価格が若干高いのと、軸傾斜がどこまで必要か?軸傾斜に伴う弊害がないのか?というところで若干迷うところ。

(4)日立 BS15Y 造作角ノミ ~15mm ブッシュ:未確認(多分日本=3/4インチ)
Bs15ya
手持ちドリルをスタンドに付けたような若干頼りない風貌ですが、ネットでの風評では精度は高く、使用上全く問題ないようです。この価格帯で唯一スライドテーブル付きで15mm角まで穴開け可能。

(5:追記)DELTA 14-651 ~1/2インチ、ブッシュ5/8インチ

14651
DELTAはやはり外せないと思い追記しました。理由は分かりませんが日本では購入が困難ですが、海外からは問題なく購入できます。Shippingで77ポンドですから普通に航空宅配便に載るでしょう。一時期出回ったMM300より一ランク上の機械で、性能も問題ないと思います。

参考までに、少し前のFine Woodworking誌のレビューでは、予算に余裕があればPowermaticのPM701が良いとありました。ただ、日本では個人輸入しか入手方法がありません。個人輸入まで手を拡げるということであれば、Powermaticに限らず、パワー(というよりそれに伴う全体の剛性アップ)、フェンスの精度(写真を見て判断するしかありませんが)、クランプ装備有無、2軸スライド機構有無などをチェックポイントとして選定すればよいと思います。

日本で容易に購入できる機種でオススメを挙げよと言われると迷ってしまいます。しいてあげれば、コストと本体のみの性能を考慮すればSteelCityが作りもしっかりしていて機能的にも最もバランスが良さそうです。

但し、(ここから思いっきり個人的嗜好が入ってきますが^^;、)本体性能も重要ですが刃の切れ味も重要で、こだわるならば結局、日本製の、しかも小林式が一番確実なように思います。日本ではプロ用の角ノミ盤も共通して3/4インチ径ですので、日本では3/4インチ(19mm)径の刃が一般的に多く市販されています。それを考えると、3/4インチ径の機種を選択しておいて日本で刃を調達する、・・・というのが一つの手ではないかと思います。
(若干割高ですが・・・。)

Pm12
ワタシはと言えば、上記の思考回路の末に、MulticoのPM12という超マイナー機種を使っています(日本の業者から日本仕様モーターに換装済みのものをネットオークションで購入)。これは密かにオススメです。入手できればですが。見た目どうってことなくて、フェンスもショボイんですが、どうしてか分かりませんが精度が高く、これまで使ってきて全く不満がありません。いつか立派な工房を構える日があったら、2軸スライド機構装備のPM20が欲しい。

現在は日本はおろかアメリカでも扱っているショップが見当たらず、英語圏ではイギリスで1件扱っているのをやっと見つけました。

※スターM製で5/8インチ径という刃物も存在しており海外で売られている例がある、という話も聞いたことはありますので、逆輸入(あるいは直接購入)は可能そうです。

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コメント

おはようございます。
私もDELTAの卓上角のみを一時期使っていました。
でも、材料をクランプしたまま上下左右に移動できる
スライドテーブルがある方がやはり便利ですね。

話は変わりますが、最近のDELTAの戦略はどうも良く
分かりませんね。
DELTAにとって日本が大きなマーケットでないのは理解
できますが、例えば卓上の自動カンナなどは本国でも
売れていた方だと思いますが廃番になってから、もうずいぶん時間が経ちます。
アメリカの、この業界も不況に揺れている、ということ
でしょうかね。

投稿: acanthogobius | 2009.09.16 09:45

acanthogobiusさん

私もシロウトなので良く分かりませんが、DELTAの行く末はアマチュアとしては気になるところです。

対日本については、過去一連の合併で一時期デリバリーが混乱し、輸出向けが影響を受けたらしいというウワサはありましたが、今「デルタの合併」でググっても、別な話題の方しか出てきませんので(笑)、詳細は不明です。

本国サイトを見ても、確かに、角ノミ盤はわずか1機種、ポータブル自動カンナは従来13インチもあったのに、12-1/2インチに退化した機種が1機種のみです。

ただし、UNISAWへの力の入れ具合を見ても、元気がないわけではないようですし、据え置きタイプの自動カンナのラインアップは健在です。ので、よりハイエンド(プロとアマの中間くらい)へシフトしていくつもりではないかと想像しています。

向こうのホビー・ウッドワーカーもどんどんシリアス化しているようですし・・・。

投稿: かんりにん | 2009.09.16 10:21

「デルタ」で検索すると普通は航空会社の方へ行って
しまいますよね(笑)

なるほど、卓上版からは撤退の方向ですか。
となれば、益々、日本には目が向かないですね。
アマチュアにとっては難しい問題です。

投稿: acanthogobius | 2009.09.16 10:37

シロウトの勝手な想像ですから、そのように受け取ってください。

自動カンナは13インチでDeWaltに負けて、すぐ後継が出るだろうと思っていたのですが音沙汰がありません。DELTAの技術者は悔しくないのかなと思いますが、あるいはそれがきっかけで、競合多数のマーケットに見切りを付けたのかも知れません?^^;

日本向けについては、総代理店さんの判断もあったことと思いますので、その辺は外野があれこれ言うことでもないかと勝手に思っています。

投稿: かんりにん | 2009.09.16 11:01

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