洋カンナの分類
洋カンナは、金属的な機能美があって見ていて飽きないですが、種類がいろいろあってどれがどれやら分かりづらいです。今回は基本的な平カンナを中心に、簡単に呼び名と用途をまとめてみます。
その前に、洋カンナは言わずと知れたスタンレーというメーカーが有名ですが、このメーカーはカンナを体系立てて番号を付けたことでも知られています。この体系はスタンレーナンバリングシステムなどと呼ばれ洋カンナで共通に用いられ、番号を聞いただけで用途と大きさが分かるようになっています。(以下、SNと略します。)
(1) Jack Plane
長さ12~15インチの大型のカンナ。平面を出すために用いられます。刃口は大きく空いており、荒削り用です。
SNでは#5。#5 1/4は手の小さい人用のちょっと小型版。#5 1/2はちょっと大型版です。
(2) Jointer Plane
長さ18~24インチの長いカンナ。名前の通り、矧ぎ面を正確に真っ直ぐにするためのカンナです。長い方が正確に削れ、30インチに及ぶものもあります。
SNでは#6が18インチ。#7、#8と徐々に長くなり、#8は24インチになります。#6はFore Planeと呼ばれることもあります。
(3) Smooth Plane, Smoother
上のカンナよりはかなり小ぶりで、仕上げ用に使われます。平面を形成するよりも、きれいに表面を仕上げる目的で設計されており、刃口は狭く、高級品では刃口を調整できる機構が付きます。逆目を防ぐため、チップブレーカー(日本で言う裏金)は刃先ぎりぎりにセットします。
SNでは#3が8インチ、#4が9インチ。
(4) Block Plane
ブロックプレーンは、木口を削るためのカンナです。向こうの肉屋さんは肉の塊をブッた切るのに木口が天板に出るように矧いだブロックのようなまな板を使うのだそうですが、これをブッチャーズブロックと言い、ブロックプレーンの名前はそこに由来しています。木口をスパッと削るために刃は寝かせて仕込まれます。そのため通常のカンナの反対の面(日本で言う鎬面)を上にして差込みます。チップブレーカーはありません。刃の角度はスタンレーの基本は20度で、ローアングルは12度です。
SNでは多くの番号がブロックプレーンにあてがわれていますが、一般的なのは、#9 1/2、#60、#65らしいです。が、複雑すぎるのか、ブロックプレーンだけは番号なしで売っているところが多いです。
手始めとしては、Jack PlaneとSmooth Planeの2つくらいからスタートされるケースが多いと思います。
ワタシはカンナは和カンナ派なのですが、洋カンナはヤフオクでサビサビのを安く落札して再生して2台持っています。正直、いずれもあまり出番はありません(笑)。
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コメント
こんにちは、
チップブレーカとは裏金の事だったんですか、知りませんでした。先程、エントリでチップブレーカと言う言葉を使ったところです。なるほど。私のエントリへ追記しておきます。
投稿: 松本 | 2008.12.16 15:54
松本さん
西洋の手カンナに限って言えば、「チップブレーカー」というのはちょうど日本のカンナで言う裏金と同じように、メインのブレードと2枚合わせで固定され、逆目を防ぐために使われる部品のことを指す、というだけの意味です。自動カンナの「チップブレーカー」はその配置からして裏金と呼ぶにはちょっと違う気もします。あくまで、"chip"を"break"するもの、という機能面での呼称ではないでしょうか。
http://blogs.yahoo.co.jp/toshim11/36082747.html
投稿: かんりにん | 2008.12.16 23:37