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2008.10.29

カンナの下端調整(2) どちらが正解?その2

先日紹介したように日本のカンナは、一部の用途を除き、刃口と台尻を材に接するように仕込み、この2点を特に重要視しているように思えます。特に刃口はを台直し(台の修正)を繰り返していくとだんだん広がってくるのですが、これを嫌ってある段階で刃口を狭くなるように埋木をする手間を惜しまない方も少なくないようです。

対して西洋のカンナ(洋カンナ)はどのように仕込むかというと、実に簡単です。前から後ろまで真っ平らにする、それだけです。

相当の「工具フェチ」と私が勝手に目している英国のDavid Charlesworthは、2004年秋のFine Woodworkingで、洋カンナの仕込みについて詳説しています。彼らしくあれこれと調整ポイントを書いていますすが、こと下端については、「マジックで横線を4本引いて、それが全て消えるまでしつこく定盤上でサンディングする」としか記載していません。つまり、真っ平らです。

和カンナの仕込みを少しでもかじった人なら、「仕上げカンナならいざ知らず、それでホントに削れるのかな」と思うかも知れませんが、実は全く問題なく削れます。

Plane2

上の図は和・洋のカンナの下端調整を示します。
和カンナは一部の用途を除き、刃口の手前と台尻が接するように調整します。本来はこの刃口~台尻間は真っ平らでも良いのですが、一部の用途以外は、中間はわずかにすき取ってしまいます。この2点で「仮想平面」が形成され、それが基準面となります(青矢印部)。

わずかに取る理由は明確ではありませんが、私の考えを含めて三つくらい挙げられます。

一つは台は所詮木なので多少狂いますが、このように点(あるいは線)で仮想平面を形成することで、多少狂ってもある程度は吸収できるようにしているのだと思います。二つ目は、この刃口~台尻の部分は、カンナがかかっていない未加工の「不整な面」に乗ることになるので、凸凹があってもあくまでも刃口と台尻が常に接する状態をキープしたければ、クルマで言う「底スリ」をしないよう、ジープのように接する部分以外の車高(ロードクリアランス)を上げておく必要があります。またもう一つは、台が木なので力を思いっきりかけるとたわみますので、力を思いっきりかけるカンナ(荒仕工、中仕工)ほど、たわむ分を凹ませておく、という意味もあるのかも知れません。


さて、対して洋カンナは、全面をべたべたに平面に仕込みます。そして、押して使います。私の考えですが、刃の位置と力をかけるポイント、および前後の面積比から考えて、基準面は実質的に、刃より後側の方が主に基準面になっていると思います(青矢印部)。洋カンナは押して使いますから、この部分はカンナがかかった後の加工後の面に乗ることになります。

即ち、和カンナは未加工の面を基準面にして削っているのに対し、洋カンナは加工後の面を基準面にして削っている、という点が決定的な違いということです。

上記から、洋カンナの下端がべたべたの平面でも問題なく削れるのは、台が金属なので狂いおよびたわみがないこと、そして、基準面がカンナ加工後の整地後の面に乗っていること、さらに、刃の出方をネジで微妙に調整できることの3点のおかげではないかと考えています。

(10/29 後半部分 少し追記しました。)

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コメント

なかなか面白い見解ですね。

確かに考えてみると、何も障害が無かったならば、わざわざ中を引っ込ませなくても良さそうな気もしますが、考えるに、多分刃先の出の量が和式と洋式で違うのでしょうね。和式の場合は、殆ど出ていないので、やはり刃以外のところで、逃げが要るのでしょうね。

でも、真っ平らなら台直しも非常に簡単にできますので、これはは面白いのでいつか実践してみましょう(笑)。

洋鉋の基準面は刃の前後の距離からしても、確かに言われる通りかも知れませんね。それと洋かんなを和式風に手元に引っ張る使い方でもうまく削れるのでしょうか?ご存じですか?意味はありませんが。

投稿: 松本 | 2008.10.29 10:04

松本さん

自分で読んでもよくワカラナイ文章におつき合い頂き、ありがとうございます。

案外、ジープ説が一番正解に近いのではないか、と書きながら勝手に思っている次第です。

洋カンナの刃の出方が上手い人だとどの程度なのか、よくわかりません。ただし、和カンナは実は「刃口」と「刃」の部分で削っている、と言っても過言ではないように思います。他の部分はうまいこと各部で逃げている、という意味で仰る通りだと思います。

「洋カンナで『削ろう会』に乱入!」「衝撃の初優勝!」なんて可能性あるかなあ、とか、そんなことを夢想しています。

和カンナでもそのレベル行ってませんので、道は遠いですが^^。

投稿: かんりにん | 2008.10.29 13:25

Antique Stanley のNo2~No8まで12種類そろえ使っています。確かに洋カンナはベタ全面あたりがいいようです。元々ベルトサンダーで仕上げてあり、完ぺきな平面ではありません。No4を鋳物のラップ盤+GC砥粒+灯油で死ぬほど時間をかけベタ裏を出しました。押す方向で刃の前の部分はやはり重要だと思います。刃口を狭くセットしてもこの部分が浮いていると薄く削れません。
No7やNo8のJointerはさすがに長くてとてもベタ裏は出せません、何かいい方法はないもんでしょうか??
きさげで和カンナのように3点当たりにしようか悩んでいます。

投稿: SPEEDY WEST | 2009.03.30 21:52

SPEEDY WESTさん
はじめましてコメントありがとうございます。

洋カンナの仕込、大変ですよね。仕込みのしやすさは木製のカンナの勝ちなのですが、一回きちんと仕込まれた洋カンナは、板が吸い付いて持ち上がってくる感触が印象的でした。

洋カンナはあまり詳しくないのでお役に立つ情報はありませんが、洋雑誌では定盤にサンドペーパー以外のやり方を見たことがありませんね。

投稿: かんりにん | 2009.03.31 00:54

初めまして。

偶然見つけた過去記事へのコメントで既に解決済みかと思いますが、自分はこんな方法で長いカンナのソールをラッピングしていますので宜しければ下記をご覧ください。

http://blogs.yahoo.co.jp/vege_men/11791081.html http://blogs.yahoo.co.jp/vege_men/11814466.html

金属加工から木工にまで幅を広げてきました。 知り合い(故人)からの依頼で洋カンナのレストアをしたことで自分もはまってしまったと言う感じです。

金剛砂を使う擦り合わせと言う技法は、測定などに使う定盤の仕上げにも行われますので確実かと思います。

投稿: ルータン | 2014.06.25 07:44

ルータンさん

コメントありがとうございます。
個人的に木工は一時休止しておりまして、そのためこのブログも長いことお休みしております。

使うのは和カンナ派なのですが、洋カンナは機能美というか、鉄のカタマリというか、マシーン的な美しさがあって、良いですよね(和カンナに機能美がないわけではないですが)。

投稿: forest | 2014.06.26 15:23

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