« 2008年9月 | トップページ | 2008年11月 »

2008年10月に作成された記事

2008.10.31

週末工房

日本で唯一(多分)の本格木工雑誌、「週末工房」の発刊が途絶えているような気がします。

「気がします」と書いたのは、もともと発刊頻度が少なくかったのでよくわからないのですが、no.8以後の発刊が未だないようです。公式ページでも、no.8が最新でその後のアナウンスはありません。

誠文堂新光社 週末工房

バックナンバーのamazonの在庫も心なしか少なくなってきたようです。
amazon : 週末工房


まだ決まったわけではないので早合点かも知れませんが、やっぱり雑誌を維持するには趣味の木工人口はまだまだ不足なのでしょうか。ちょっと前に「木工ブーム再燃」の感があり、その頃やり始めた人の継続的なニーズはあると思うのですが。昔の手づくり木工事典と比べても、雑誌のクオリティーはさほど低くないと思いますし・・・。

現在の趣味の木工人口は、実は「すのこ木工」に代表されるような、実生活的な木工がメジャーであり、週末工房の目指したターゲットが少しマニア向けに過ぎたのでしょうか。

それとも、「紙冊子ベースの趣味の情報誌」というカテゴリーそれ自体が、危うくなっているのでしょうか。
ネットの普及で人が本を読まなくなったという説もあり、本屋さんもなかなか苦戦を強いられているようですから、母数の少ないマニアックな趣味の情報誌なら尚更です。

確かにネットを開けばイヤと言うほど木工の情報もころがっています。むしろ溢れる情報を選択・整理して体系立てる方が困難です。その意味ではワタシ自身は紙ベースの本の存在意義はあり続けると思っています(考えが古い?)。


もちろん、ウチのような駄文ブログが競合してるとは、これっぽっちも思っていませんが・・・・。 (゚ー゚;;

同じ号を2冊ずつ買ったり(笑)して応援してますので(この辺り参照)、ぜひ継続して頂きたいと思います。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2008.10.30

カンナの下端調整(3) どちらが正解?その3

このトピックスの締めくくりとして、和カンナの仕込みについてまとめます。
Plane3

上の図表は、和カンナの用途別の仕込み方をまとめたものです。特殊なカンナは省略しています。
カンナは、基本的には荒仕工、中仕工、仕上げの3種類を持つように教えられます。順に見ていくと、荒仕工は効率よく荒削りできるようにすき取る幅も大きく取ります。中仕工はすき取る量が荒仕工に比べて小さくなります。それと同時に一部の記述では、台頭も接するようにして「3点当たり」とするようにと書かれています。これはこの中加工の段階で、平面を出すことを重視していると考えられます。

当然、仕上げカンナも「3点当たり」にするのかと思いきや、再度2点当たりに戻っています。これは、あくまでも仕上げカンナは「凸凹を均す」というよりはむしろ面の調整であり、薄く均一な削り屑を出すことが大切であると理解できます。

基本的には以上なのですが、さて、今回のエントリーをまとめるために昔の教科書を引っ張り出したりして、初めて気が付いたのですが、「継板材用」、あるいは「板材(接いだもの)用」として、刃口をわずかに浮かせるセッティングがごく一部であるようなのです。

上表には一番下の欄に記載しましたが、(b),(c)の部分が浮いており、他の部分が接している状態で、全体にはなだらかに凹になっている状況で、上の図とは少し違ったイメージになります。最初は「矧いだ板」用のことかと勘違いして、矧ぎ面の目違いを払うのかと思いましたが、矧ぎ面の目違い払いならばこのセッティングは違うと気付きました。

今のところ、「接ぎ」という漢字およびその仕込み方から考えて、組み手で組んだところ(箱物の外側の四隅みたいなところ)を払うためのカンナかな?と思っています。角だけちゃちゃっとやるのであれば、このセッティングは確かに角でも安定して削れ、角がダレることなく綺麗に仕上がるような気がします。(その代わり、角しか削れない(はず)。)

本当のところはどうなのでしょうか?ご存じの方がいらしたら教えてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.29

カンナの下端調整(2) どちらが正解?その2

先日紹介したように日本のカンナは、一部の用途を除き、刃口と台尻を材に接するように仕込み、この2点を特に重要視しているように思えます。特に刃口はを台直し(台の修正)を繰り返していくとだんだん広がってくるのですが、これを嫌ってある段階で刃口を狭くなるように埋木をする手間を惜しまない方も少なくないようです。

対して西洋のカンナ(洋カンナ)はどのように仕込むかというと、実に簡単です。前から後ろまで真っ平らにする、それだけです。

相当の「工具フェチ」と私が勝手に目している英国のDavid Charlesworthは、2004年秋のFine Woodworkingで、洋カンナの仕込みについて詳説しています。彼らしくあれこれと調整ポイントを書いていますすが、こと下端については、「マジックで横線を4本引いて、それが全て消えるまでしつこく定盤上でサンディングする」としか記載していません。つまり、真っ平らです。

和カンナの仕込みを少しでもかじった人なら、「仕上げカンナならいざ知らず、それでホントに削れるのかな」と思うかも知れませんが、実は全く問題なく削れます。

Plane2

上の図は和・洋のカンナの下端調整を示します。
和カンナは一部の用途を除き、刃口の手前と台尻が接するように調整します。本来はこの刃口~台尻間は真っ平らでも良いのですが、一部の用途以外は、中間はわずかにすき取ってしまいます。この2点で「仮想平面」が形成され、それが基準面となります(青矢印部)。

わずかに取る理由は明確ではありませんが、私の考えを含めて三つくらい挙げられます。

一つは台は所詮木なので多少狂いますが、このように点(あるいは線)で仮想平面を形成することで、多少狂ってもある程度は吸収できるようにしているのだと思います。二つ目は、この刃口~台尻の部分は、カンナがかかっていない未加工の「不整な面」に乗ることになるので、凸凹があってもあくまでも刃口と台尻が常に接する状態をキープしたければ、クルマで言う「底スリ」をしないよう、ジープのように接する部分以外の車高(ロードクリアランス)を上げておく必要があります。またもう一つは、台が木なので力を思いっきりかけるとたわみますので、力を思いっきりかけるカンナ(荒仕工、中仕工)ほど、たわむ分を凹ませておく、という意味もあるのかも知れません。


さて、対して洋カンナは、全面をべたべたに平面に仕込みます。そして、押して使います。私の考えですが、刃の位置と力をかけるポイント、および前後の面積比から考えて、基準面は実質的に、刃より後側の方が主に基準面になっていると思います(青矢印部)。洋カンナは押して使いますから、この部分はカンナがかかった後の加工後の面に乗ることになります。

即ち、和カンナは未加工の面を基準面にして削っているのに対し、洋カンナは加工後の面を基準面にして削っている、という点が決定的な違いということです。

上記から、洋カンナの下端がべたべたの平面でも問題なく削れるのは、台が金属なので狂いおよびたわみがないこと、そして、基準面がカンナ加工後の整地後の面に乗っていること、さらに、刃の出方をネジで微妙に調整できることの3点のおかげではないかと考えています。

(10/29 後半部分 少し追記しました。)

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2008.10.28

3分間ウッドワーキング

某マヨネーズの提供でお送りします(冗談です)。

皆さんはダブテールジョイント、墨付けから加工まで一箇所何分くらいかかりますか?

以下は、「3分でダブテールを作っちゃう人たち」の動画です。

一つ目。
Rob Cosman's 3 1/2 minute "Tails 1st" dovetail
Rob Cosmanはいくつかの本やビデオも出版している著名な木工家です。テール側を先に切っています。通常のノコが届かない底(と言うのでしょうか?)を切るのに、画像では不鮮明ですが糸のこを使っています。テールを切った後にマーキングナイフ(だと思います)で、できたものをピン側に写し取っていますが、これは欧米流のやり方です。
その後、仕上げはノミでほぼ1カットずつで底をさらっているだけですが、動画を見る限りではそこそこすき間なく仕上がっていることに驚かされます。

二本目。
Three-Minute Dovetails with Frank Klausz Video

こちらの方がかなり豪快な感じ。Frank Klauszは、ヨーロッパスタイルの大きなフレームソーを使っています。上のCosmanさんと違って、先にピンを切っています。できたものを写し取るの手順は同じです。リンク先に書いてありますが、彼は底を切るために特殊な刃を用いています。残念ながら画像では不鮮明ですが、ノコの刃が途中で90度 屈曲(旋回?)しており、刃を縦の切り目に差し入れて、この刃の屈曲した部分を材料に通すことで一瞬にして刃を方向転換し、横に切り進めます。ノミは使わず、いきなり完成です。

できたダブテールはこれも画像は不鮮明ですが、作製工程にも似つかわしく、とっても大らかな印象です。


どなたか「日本流」で挑戦してみませんか?

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.10.27

カンナの下端調整(1) どちらが正解?

081027b_2
上の図は、稚拙で申し訳ありませんが、機械の「手押しカンナ」のセッティングの基本の考え方を示す図です。右側の定盤に材料を乗せて(送り側定盤)、右から左に送ると材料がある厚み分削られ、左側の定盤に乗ります(受け側定盤)。この時に、図のように削り代と同じだけ受け側の定盤を高くしておくことで、削った後の材料がそのまま真っ直ぐに受け側定盤に乗り、途中で上下にぶれることなく、端から端まで真っ直ぐな材料が得られます。

081027a1_2
上の考え方は理屈は通っていますが、日本のカンナをある程度習った方なら、ちょっと違和感を感じると思います。日本のカンナは、一般的には上の図のように、台頭=削った後の材料が触れる側を少しだけ空くように仕込むのが通常だからです。

台が狂って台頭が出っ張ると、途端に調子が悪くなります。理屈はともかく、不思議と台頭は空いていた方が良く削れるのです。(用途により接するように仕込む場合もありますが、またの機会に後述します。「接する」を越えて「不正に出っ張っている」と読んで下さい。)

以下は私の考えですが、引いて使う和カンナの場合、台頭側の台は普段は定盤としては機能していないというか使っていないのだと思います。(構造強度的な面を除いて、なくても良いということ。)あえて使うとすれば、カンナの引き終わりのわずかに数十cmはどうしても台尻側は離れてしまいますので、最後の引き終わり部分に、ここの部分を使います。

初心者の方は、引き終わり部分だけで削れすぎて凸に、あるいは角がダレてしまうことで悩む方が多いと思います。これは台尻側が離れてしまってカンナが不安定になるために起こる現象です。このことを頭にイメージして、引き終わりだけは力のかけ方を変えて、「真ーっ直ぐ後ろに引ききる」イメージで引っ張るか、あるいは台を下に押さえ込んで引いてきたところを、最後だけ、重心を移して台頭の部分を下に押さえ込んで、台頭が材料に接するようなイメージで引ききると、このありがちなクセを克服することができます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.23

失敗のツボ

うるさい作業は週末に回して集中的にやることにしているため、アタマの中では工程を組み立てているのだが、どうしても本番は時間も少なく、スピード重視で慌ててやってしまいがちです。

で、またルーターで溝掘りでポカミスをやらかしました。

ベニヤ板の直線溝掘り治具で溝掘りする際に、右の墨線と左の墨線を間違えて、掘ってはいけないところに溝を掘ってしまった(ノ∀`) アチャー

ルーターはワタシの中では最もポカミス率の高い機械です。
ルーターはあっという間に仕事ができてしまうので、間違った時もダメージが大きいです。
ベニヤ板の治具も、墨線の全容が見えづらくて間違いやすいんですよねと言い訳してみる^^。

手加工で最初にやったポカミスはよく覚えています。初めて組み手に挑戦ということで、5枚のあられ組みで残すべき方を欠き取って、欠き取るべき方を残してしまったという^^。・・・それ以来、鉛筆でこれでもかと言うくらいにハッチングできっちり隅まで欠き取る部分を塗りつぶすようにしています。それでも間違いかけてノコを入れる段になって「はっ」としたりするから恐ろしい(笑)。雑誌を見てると、マジックで塗りつぶす人もいらっしゃるようですね。

そのイミでは今回のミスも同類かなと思います。塗りつぶししてなかったし。しばらくブランクがあったから、「失敗のツボ」を忘れているようです。

皆さんも人に役立つ失敗例があれば、ご紹介ください。

---
結果的にあまり関係ありませんが、発明の女王様の「実生活CTRL+Z」にトラックバックします。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.10.20

「電動工具の騒音一覧」アップデート

以前からテーブルに取り付けて使っているトリマーが、前回の作業台製作の時にちょっとだけヘビーな切削をしたら、
「ぎゃああーーーんっきいきいききーーごごごごds;ghf@jkl」
と恐ろしい音をたてるようになりました。

木工を始めた初期に購入した、中国製の廉価なトリマーです。いずれこうなることは聞いていたのですが、他機種への買い換えとなるとテーブルの取り付けからやり直しになるので、躊躇していたところ。昨日、あれからずいぶん「冷却」したから大丈夫かなー、と思って回してみたら、やっぱりダメでした。ちょこっとだったので、保護具フル装備で(笑)そのまま使ってしまいましたが、皆さんは真似せず、工具に異常が感じられたら使用を中止してください^^。

ということで、先日掲載した「電動工具騒音表」のアップデートです。

Photo_2

上記のトリマーはこれまでの最高記録99.7dBをマークしました。壊れかけだからではありますが、記憶によると新品もあまり変わらなかった気もします^^。

先日のマキタ厚切り(深切り)丸ノコ5731は、従来の6型より静かです。これで7型同等の厚みが切れるのですから、騒音面でも「1ランク上」の優位性があります。

ずいぶん前に評判の高かったBOSCHのトリマーPMR500(日本版)は、レベル的には丸ノコと同程度です。ただし「きーん」という高周波より「ぶおーん」という感じの音で音質的には耳に優しい音です。

アネスト岩田FX2052にはもう少し頑張って欲しかった。
・・・ふと、「世界最静粛」を謳った(今も謳っている)あのルーターも、数字を信じて大丈夫かなという気持ちになりました。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008.10.19

エアネイラー

「ぱしっ、しゅぽんっ」のエアネイラーは、大工さんあるいは内装やさんのイメージがあり、特に日本の木工では多用されることはないようです。モールディングを多用する欧米では、流派によってはフィニッシュネイラーあたりを使うことがあるようです。

ワタシも、「クギなんて」と思っていたのですが、最近使い始めて便利さを実感しています。特に治具作りに使用することが多いです。特に「こんな治具、絶対2度は使わないだろうなー」というような治具をテンポラリーで手抜きで作る場合、ボンドで貼り付けた後に、バシバシと片っ端からネイルで押さえていきます。治具によってはその状態でそこそこしっかりしますので、根が「いらち(関西弁)」なワタシはそのままボンドも乾かないうちに使い始めて、ボンドが乾くのは、その治具を使い終わってしまってゴミ箱の中、というのが常態です^^。

081019aとは言え、一流メーカー品は驚くほど高く、活用範囲を考えると躊躇される方も多いと思います。
ワタシもホームセンターで購入したセール品を使っています。
パワーソニックブランドのフィニッシュネイラーFN-1550Cです。
ネイラーは1発1発はさほどエアーを食いませんので、ヘビーな使い方でなければ0.2kW程度のコンプレッサでも全くストレスを感じません。アネスト岩田は「△」マークを付けていますが。

081019bこんな釘が打てます。
ネイラーには写真左側のマガジン部に、ホチキス(ステープラー)のようにくっついた状態で装填します。
治具作りにはサイズ上、写真の18mmのネイルを多用しています。
正直、このサイズでは固定力に難ありで、本数でカバーです。

081019cブナの端材に打ち込んでみました。フィニッシュの名の通り、使い道によっては目につかないかもしれません。付属のネイルなので錆びてます(笑)。

ウチの廻り縁は延々とこれで打ち付けてありますが、自分の木工作品にはなるべくやりたくはないですね。


| | コメント (6) | トラックバック (0)

2008.10.17

コンプレッサのある生活再び

最近、工房整理と称して、工具を二つ処分しては一つ追加している、そんなペース(笑)。

コンプレッサはナカトミのCP-1500を持っていたのですが、場所を取りすぎていたので処分しました。のですがやはりあったら良いと思う場面が多く、もっと小さい機種に買い換えることにしました。

安物で良いと思っていたのですが、調べるうちにアネスト岩田が静音タイプを謳ってオイルレスタイプを出していることを知りました。アネスト岩田は騒音値を公表しており、最も静かなのは1/8馬力タイプですが66dBと書いてあります。コンプレッサはウルサイのが当たり前と思っていましたので、この数字は驚異的です。

「静かな木工」研究家としては手をださずにはおれません。66dBのにしようかと思ったのですが、ちょっと欲が出てしまい、1/4馬力のFX2052というタイプにしてしまいました。
(リンク先にタイプ別騒音値一覧表、および、目的別対応一覧表があります。)
これでも騒音の公称値は70dBです。1/8馬力ではブロアとエアブラシくらいまでですが、1/4馬力なら、インパクトレンチが使えるようになる、くらいのイメージでしょうか。

081017aさっそくワクワクしながら開梱。
周りが汚くて申し訳ありません。
縦型で、壁掛け設置が可能であるされています。頭でっかちで青くて猫型ロボットみたいです。

081017b早速スイッチを入れてみました。コンプレッサの音って普通は「だだだだだっ」というイメージですが、これは「ぶぅーううん」という、熱帯魚のポンプの親分みたいな感じの音です。

・・・・・・で、期待はずれなことに、思ったよりウルサイ。ていうか、かなりうるさい。

いつぞやの安物騒音計で測定すると、1m離れて88dB。数値的には、最近の丸ノコと同じくらいの数字です。ただし、音質のせいで丸ノコほどの精神的圧迫感はありません。が、夜中に気兼ねなく回せるような代物ではないです。表を良く読むと、「無響音室での弊社測定基準に準じた測定値です。お客様の作業環境に応じて聞こえ方は異なります。」と書いてあります。

これなら同クラスの7~8千円の安物を買って防音ボックスを作った方が良かったかなあとも思いましたが、きっと数年後にこっちにしておいて良かったと思える日が来ると思うことにします。「壁掛け防音ボックス」を別途計画します。

まぁ、普通のコンプレッサよりは静かなんですけどね、騒音以外は、つくりもしっかりしており全く問題ありません。特に圧力調整がやりやすく、シビアな用途には威力を発揮すると思います。

| | コメント (14) | トラックバック (0)

2008.10.14

おうち床屋さん

どこかで、床屋さんの職人性について書いた気がする。→ここだ。

ウチは子どもの床屋は1回の例外を除いてずっとお父さん(ワタシ)である。いま流行の「おうち床屋」さん(違うか)。
例外と言うのは、数年前に一度近くの床屋に行かせた時のことを指す。散髪自体は順調だったようだが、顔剃りの段階で、子どもだから危険だと判断されたのか、顔の中心を丸く剃るだけで隅の隅まできちんと剃ってもらえなかった。帰って鏡を見るなり「おさるさん(本人談)にされた」と言って、すぐに「おうち床屋」さんに戻って現在に至る。(ワタシは顔剃りはしないので不公平な勝負ではある。)
今小5と小4なのでまだ文句もなく刈られているが、いつ「カッコ悪いからもうイイ」と言われるか楽しみではある。

そんなわけで決して自慢ではあるが、ワタシは散髪には多少自信がある。但し、男の子限定で、髪型も一種類。
思い起こせば子どもの頃、どうして真っ直ぐなハサミで「まことちゃんカット」にならずに、ランダムに梳けるのかが不思議で、床屋に行くたびにその手つきを眺めていた(今は即居眠りしている)。曰く、「ハサミよりもクシさばき」らしい。クシさばきはプロには遠く及ばないが、その手さばきの記憶に今になって助けられている形である。

成長に伴い髪の量も増えてきて前回バリカンを導入した。これも購入して初回は勝手がわからず正直失敗した。もう使わないでおこうとも思ったが、一度行きつけの店で自分の散髪をしてもらった時にやり方を観察して、再度チャレンジした。そこそこ扱えるようになり、後ろ頭の凸凹も激減し(笑)ワンランク仕上がりがアップしたと思う。欲を言えばもっと馬力がある業務用の方が良いが、費用が回収できないのでやめておく。


親方の技は教わるのではなくて盗むもの、と言われる。
これは主に師弟関係に関する言い回しではあるのだが、木工旋盤の時も実感したのは、やはり目の前で上手い人がやっているのを見るのは、参考書3冊分くらいの効果があるということ。ただ、バリカンの例で痛感したのは、漫然と見ていればいいというものでもないということ。一度失敗してみて、どこが勘所か、あるいは自分の悪かったところはどこか、を考えながらポイントを絞って見る必要があると思う。

やってみせ、いって聞かせて、させてみて、・・・という言葉もある。こちらの方が腑に落ちる感じがするな。マニュアル化一辺倒およびその反発という時代から、現在はマニュアルの功罪を冷静に見直し適宜柔軟に活用するというやり方に変わってきているように思う。ことモノ作りに関しては、やってみて、直して、やってみて、・・・のフィードバックの繰り返しなのである。

上の言葉は、褒めてやらねば人は動かじ、と続く。シロウトのお父さんに刈られた本人とその母親から、「上手だ」「ありがとう」と口々に言われるのも、実はおだてられているだけなのだろうか?(当然、対価ナシでやっています。)

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008.10.06

リボルバーとホゾのお話

精度、精度と言う割には、木工の本に「許容差」の指定を見たことがありません。

現在の機械製図には、必ず、○○mm±○.○mmのように、許容差を記入することがキマリになっています。一定のキマリで略する場合もありますが、ともかく書かなければ、ガッコウの提出物なら減点です。それほど重要。

・・・・・・・・
昔々の、職人がいちから一つ一つモノを作っていた時代には、この許容差=精度の発想がありませんでした。職人たちは、自分の技能を駆使して全ての部品を「できる限り」設計値に近づけようとしてモノを作っていました。で、それらを組み立てる段になって、部品どうしを組み合わせた上で個別に調整して、製品を組み立てていました。

そのうちに工業が近代化し、職人が一人で最初から最後まで作る方法では対応できなくなり、分業を行うようになります。例えば、Aさんの作った部品AとBさんの作った部品を組み合わせてCさんが製品を組み立てる、という工程を組むわけです。

そうすると、昔のメソッドではたち行かなくなってしまいます。前工程であるAさんとBさんの部品のバラツキが、最後Cさんの個別調整にゆだねられことになり、Cさんの調整にばかり時間がかかって効率が上がらない、というような問題が生じます。Cさんが、部品を「きっちり」作るように文句を言うと、今度は部品作り工程で時間がかかりすぎてサッパリ部品ができてこない、という状況になります。

そこで、工場で次々と作られる部品のうち、どれとどれを組み合わせても、手直しなしに組み上がるような、そういう仕組みを考えよう、ということになりました。それで「許容差」という考え方が生まれます。例えば、丸棒にリングを通すようなことを考えると、丸棒を例えば9.5mm±0.5mm、リングを10.5mm±0.5mmとすれば、工場で次々と作られる丸棒とリングのうち、どれとどれを組み合わせても「すっ」と楽に入ります。

即ち、「許容差」というのは、指定寸法ジャストのものを作ることは工業上できるか、と言われると「できない」のだ、と。「できない」という前提にたった上で、じゃあどこまで許せるのかを、設計段階で考慮して設計しよう、という思想なのです。


この許容差の概念を最初に導入したのは、とあるリボルバー拳銃の会社らしいです。(→※1にて後述。)それまで拳銃は、職人の手づくりによる手工芸品であり、言ってみれば一品モノで、あっちの部品とこっちの部品を組み合わせても組み上がるものではなかったのですが、これをイカンと思ったエライ人が、この考え方を確立したのです。

と学校の先生に聞いた記憶がありますが、ググッてみても出てこなかったので、今となってはこの部分は定かではありません。


さて、ちょっと前に工房通信 悠々さんのところで、はめ合い精度、あるいは、現物合わせするかしないか、という議論が見られました。

アームチェア「大和」を組む
ホゾ加工の精度について
(恐れ多くもトラックバックします。)

はめ合いをどう設定すべきかを定量的に書いてあります。サラリと書かれていますが、これ自体、おそらくは多大な経験と検討に裏打ちされた、本来ならば門外不出の「ノウハウ事項」ではないかと思います。

コメントで皆さん仰っていますが、現物合わせするかしないかは、こと木工に関して言えば、どっちがエライとかエラくないとか良い悪いの問題ではなく、精度管理とコストの最も幸福な妥協点がどこなのか、と言い換えることができ、それは各人の到達目標点、あるいは、製造ロット単位(一個単位なのか十個かはたまた数千個か)で変わってくることであると理解しています。 それが趣味の木工なら尚更です。


※1  11/4追記: リボルバーではなくて、ホイットニーという人のマスケット銃という銃でした。タイトル含めて間違っていましたので、お詫びさせていただきます。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2008年9月 | トップページ | 2008年11月 »