キャッチに関する考察(5)
迷走気味の本シリーズ、こうなったら行き着くとこまで。
とりあえずここまでで何故不意に横方向に持って行かれるような現象が起こるのか、はわかりました。
とりあえず、「書いてみる」ことでワタシは個人的にはもう、心の底から納得しています。 (ああ皆さんあきれないで~)
次にキャッチを発生させない削り方を考えると、どうしても、なぜ刃物が引っかかるか?の方を考えなければならないと思います。
唐突ですが、旋盤ではない木工で使う「ノミ」ですが、これは刃裏の平面性を非常に大事にします。もちろんそれは研ぐために必要なわけですが、ノミを使う際にも、この平面を基準にして掘り進めていくのが基本です。上図の左側の図は、刃裏の平面を使って「真っ直ぐ」削ることを示す模式図です。平面に刃裏をピッタリ付けることで、その先がいくら凸凹でも、この平面の延長で真っ直ぐ削っていくことができます。
いわば刃裏を治具というかガイドのように用いるイメージです。この時、削る人はノミを結構な力で下に押しつけながら刃を掘り進めているはずですが、もちろん刃裏がガイドとなって、いくら押しつけても深く掘れすぎることはありません。
(注:もちろん日本のノミは裏を中すきの状態にするわけですが、これは研ぎやすくするための策であり、刃先と中央以外の周囲の部分で平面が形成されていることはご存じの通り。)
旋盤の教科書に最初に書いてあり、よく言われるのは、「刃物のベベルを材に沿わせること」です(スクレーパ系の工具を除く)。右の図で模式的に示すように、これは上記の平面におけるノミと全く同じ考え方です。ベベルが材料に押しつけられることで、それ以上刃が食い込んでいるのを防ぎ、キャッチを防いでいるわけです。
当たる角度を一定にしてさえいれば、1回で削れる量はある量以下になるように、自動的に制限されるという表現が正しいかも知れません。ごく理想的には、上図の左側の角度を正確に保持していれば、ずーっと押しつけていても、ある程度削れてしまえば(図の鎖線のところまで)、後は全く削れなくなるという状況に到達するはずです。
というのは実は本シリーズの1日目で書いたことの繰り返しだったことに今頃気が付いたり付かなかったり。
でもプロ級のクリーンなカットを目指す前に、キャッチの起こらないことだけをまず目標に置くならば、小手先のノウハウや教科書的なセオリーよりも、この「ベベルを沿わせて削る」イメージを頭の中に持つことが非常に重要な気がしています。
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コメント
回転している木材の中心より下に刃を当てれば木材が引っかかることは全くないです。すなわち、刃に木材が向かってくる方向に刃を当てれば引っかかりますが、刃から木材が逃げていく方向に刃を当てれば、木材は削れますが絶対にキャッチを起こしません。また、切削面も非常になめらかです。
投稿: ジョージ | 2007.03.20 22:54
ジョージさん はじめまして。
コメントありがとうございます。
仰っているのは、材料に対して直角に近い角度で刃を当てる、スクレーパー的な刃物のことを仰っているのですね?
材料にもよると思いますが、安い針葉樹だと、なかなかスクレーパだけでは仕上がりが良くならないのが悩みです。研ぎ方か使い方にコツがあるものと思いますが・・・。
投稿: かんりにん | 2007.03.21 03:41