キャッチに関する考察(2)
「キャッチの起こる法則」を求めて、とりあえず連載の2回目。前回は、縦方向あるいは角度方向のキャッチの起こらない安定な切削状態についてということで、記載をしました。今回は、横方向、あるいは幅方向のそれについて考えてみます。
図のように、円筒状の被削材に、平べったくて厚みのない仮想的な刃を、ツールレストでしっかりと保持して、当てることを考えます。
まず、図(a)はごく普通に水平に刃が当たっている状態です。刃に厚みがないので、前回の角度の議論は無視します。被削材の回転は、刃に対して真っ直ぐ下向きに力 F を与えます。刃が水平なので、刃の縦方向にかかる力 Fm は、かかった力 F と同じ方向で同じ大きさです。刃はツールレストでしっかり保持されているので、この方向の力に対しては、反力により力の釣り合いが成立し、刃はその状態で安定します。表現が正しくないかも知れませんが、少なくとも不本意に横方向に刃を持っていこうとする力は、この状態では発生しないということは感覚的にもご理解いただけると思います。
次に図(b)のように刃を斜めにひねった場合を考えます。(通常自分から好き好んでこんな事をすることはないと思われるかも知れませんが、そう思う方は思考実験としてお付き合い下さい。)
この状態では、同様に縦方向に力 F を受けますが、刃が斜めなので、力は刃に垂直な方向 Fm と、刃に平行な方向 Ft に分解されます。刃の周辺に摩擦があれば刃は真っ直ぐ鉛直方向に持って行かれますが、摩擦がゼロ(あるいは少ない)とすると Ft は逃げてしまいますので、 Fm の力のみが刃にかかります。
この力は刃と同じ角度のツールレストであれば受け止めることができますが、水平なツールレストだと、下向きの力は反力 Fm’ で受け止めまられますが、横方向の力 Ft’ は残ってしまいます、この横方向の力が、不本意に刃を横向き(この例ならば右方向)に持っていく推進力になるというわけです(左図参照)。
これが、横方向に不意に持って行かれる類のキャッチの、基本原理であると考えます。
続く(かな?)。
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