据え置き機械の導入(9) - ハイブリッドソー
久しぶりに「据え置き機械の導入」の続き。
永らく多くのアマチュア木工家のあこがれであったコントラクターズソーですが、ここ数年ハイブリッドソーと呼ばれるクラスが認知されるようになってきました。
ハイブリッドソーの「ハイブリッド」は、いわゆるキャビネットソーとコントラクターズソーの混血と言う程度の意味だと思いますが、ともかく、両者の中間のクラスを指します。
コントラクターズソーは、特徴的な点として、大きなモーターがボックスから背面にぶら下がって、自重でベルトに張力をかける仕組みになっています。よって、前から見るとよくわかりませんが、裏面や底面はがたいていの場合「フタ」がなく、がら空きになっています。
この方法はベルトに張力をかける構造として簡単にできますが、モーターが背面に思い切り飛び出るので壁に押しつけて収納できず場所をとること、さらにもっと重要なのは、どうしても背面はがら空きになり集塵効率が落ちることの2点が、大きな欠点としてあげられます。
キャビネットソーは、テーブルの下はクローズキャビネットになっており、多くの場合立派な吸塵口が装備されています。反面、重量は重くフェンスも大型になりますので簡単には移動できませんし、価格的にもアマチュアではかなり気合いが入っていないと購入できないようなシロモノでした。
ハイブリッドソーは明確な定義はなく、各社によって思想は異なりますが、概ね下記の点で「ハイブリッド」であると見なされます。
(1)モータが背面に飛び出さず、テーブル下に配置されている。
(2)駆動系はコントラクターと同様の機構を流用しており、キャビネットで支持されておらず、テーブルにぶら下がっている。
(3)ノコ刃の下ががら空きではなく、箱形になっており、集塵に対して考慮がされている。
(4)大きさ(サイズ)は、コントラクターと同程度で、横挽き幅で言えば30インチクラスが主流。
最近までは(2)が最も厳密な定義と考えることができましたが、一部キャビネットソーと同様、キャビネットでモーターを支える機種が同価格帯で出現しており、ほとんど「キャビネットソーの軽作業版」としか表現できない状態になりつつあります。
購入する側から言えば、集塵がしっかりできることと、背面がすっきりしてかさばらないこと(冷蔵庫の宣伝みたいですが)の2点に魅力を感じれば、価格差はコントラクター側に限りなく近くなりつつあり、検討する価値は十分あります。各部の重量及び剛性アップによる精度アップも期待できます。反面、コントラクターでもぎりぎり厳しかった「重量」が問題としてクローズアップされてきます。100kg代後半の重さとなる機種が多く、購入時あるいは移動時、一人で運ぶのはかなり困難になりますので、家族も当てにできないような孤独な趣味の木工家は、購入前に運搬方法は考慮すべきと思います。もちろん価格も問題ですが。
あと、コントラクターはがら空きでツーツーであるが故に逆に集塵機なしでも、木屑はそこそこ下に落ちていってくれますが、ハイブリッドは下手にクローズになっている分、集塵機なしでは木屑が吹き上がってくるようですので、しっかりした集塵設備が必須になってくると考えます。
| 固定リンク
「工具概説」カテゴリの記事
- ミニマル集塵スタイル(2009.09.24)
- アメリカのモーター規格(1)(2009.06.25)
- 新・最初に揃える道具(2) - 電動ドリルドライバー(2009.04.27)
- トライアックによるスピードコントローラー(2009.03.06)
- 洋カンナの分類(2008.12.16)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
パネルソーが欲しい病に侵されてしまいました。
よい薬はないでしょうか。
投稿: クロ | 2007.01.20 12:55
クロさん はじめまして。(かな?)
人生は短いです!案ずるより産むが易し!
スミマセン、勝手なこと言いました。
投稿: かんりにん | 2007.01.20 17:34