あると便利な機械・工具(4) - 卓上スライド丸ノコ その2
引き続き今さら卓上スライド丸ノコ。
スライド丸ノコはその前身として、(スライドしない)卓上丸のこがあり、そこからの進化形と見ることができます。
卓上丸のこは、支点が縦に回転する方向以外は固定でスライドはせず、押し切るように材料を切断する機械です。構造が簡単なため、支点周辺さえリジッドに作れば精度が上がる構造です。が、構造上切断長さを長くすることが出来ず、その長さはノコ刃の径に一意に依存します。垂木のような細長い材料の横切りが主目的の機械です。刃径は若干大きめで、8型や10型、あるいは12型あたりがメイン商品になります。
スライド丸ノコはその改良版で、レールに乗って丸ノコが前後にスライドすることで切断長さをかせぐ構造になっています。切断長さは現在は大きいもので300mm程度です。それ以上のものがないのは、持ち運びやすさや精度の維持、さらには1尺切れれば大抵のことはカタが付く(by所ジョージ)という背景によるものと思います。最近は、ノコ刃を7~8型くらいにすることで全体をコンパクトにして切断長さはレールで稼ぐ、というのが売れ筋ではないかと思います。
いずれも、いつでも材料を置けばスパッと直角に切れる、というのは魅力です。但し、どうしても切断長さ(幅と言うべきか)に限りがありますので、横切り以外に用途が狭いのも事実です。縦切りは他に手段がある、という方であれば便利に使えると思います。ただしテーブルソーをお持ちであれば、殊更にスライドを買う意義は見つけづらいかも。
同様に、縦切りの機会があまりない方、例えば、2×材(1×材含む)で基本的には幅だけ切って板組み、というような工法を多くされる方にも、非常に便利と感じられる機械と思います。手持ち電動工具でカバーするとして、30cmのスライド長さはほぼ80%くらいの仕事をしてくれると思います。
テーブルソーに比べて、スライド丸ノコであればキックバックが「ない」と考えるのは間違いで、本体が軽い分、機械および材料の固定と、無理のない加工が重要です。
またスライド丸ノコでは、切り込み深さを調整することで、切り離しではなく「溝」を掘ることができます。
但しこの時注意が必要なのは、カタログの切断長さは刃を深く入れて刃の幅を一杯に使った値であり、溝切りのように半分浮かせたような状態の加工では、加工長さは思った以上に短くなります。30cm切れるタイプで、20cmくらいがせいぜいみたいです。溝の幅も選択は限られますので、スライドでやるくらいなら溝はルーターでやると割り切った方が効率的ですし何より安全です。
スライド部分、および支点の精度と堅牢度がこの機械の要であり、横に振るだけでグラグラするような機械は避けるべきです。
スライドしないよりはした方が便利なのは明らかですが、スライドはパイプが後に出っ張るので思ったより邪魔ですし、スライドしないものに比べて非常に高価です。自分の作るモノや作風(、プラス財布の中身)を考慮して、安物のスライドを買って後で精度で泣くくらいなら、割り切ってスライドしない方を買う、という割り切りもアリと思います。
とまあ、そこそこのメーカー品は結構高価ですので、使用範囲を考えるとやっぱりなかなか手が出ない部類の機械ではありますね。
最近まで、どこも大体同じような形でしたが、最近各社特徴が出てきて面白くなってきました。次回はツールレビューですが、各機種の紹介ではなく会社ごとの傾向みたいなところをご紹介したいと思います。
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