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2006.02.25

木工という芸術(駄文)

昔、「音楽は常に過去に向かって進行している」と著名なポピュラー音楽家が言ったとか。

音楽が、臨場性と言うのか、ともかくその場限りの芸術であることをうまく言い表していると思う。何年も一生懸命死ぬ気でこつこつ練習しても、本番は(広義には)いつでも1回j限りであり、発せられた音は空気をいくらか振動させた後、壁に反射し、吸収されてしまう。

やった途端に、やった端から、「終わって」いると言うのである。

さらには、音楽で与えられる感動というのは、たいていの場合、過去の記憶に対する追想あるいは共感であったりするから尚更。

さらには、その音楽家は「だからそんなものいつでもやめられる」と言い放ったらしい。
即興性と言えば聞こえはよいが、確かにその意味ではやってる側の感触として幾分無責任な面はあると、実際昔やっててそう思う。(=やったもん勝ち。)

木工をやられている方で音楽もたしなまれているという方は、案外多いような気がする。
かく言う私も、以前かじっていた時期があり、2人~100人程度の集団でお客様に何かしらお聞き頂いた経験がある。この前久しぶりに演奏会のようなものを見に行ったが、そういうものを見に行くと必ず、どうしても演奏側の気持ちをトレースしてしまっていることに気付く。

で、あの晴れがましい「演奏会」の「高揚感」を勝手に追体験して、やっぱ音楽は良いなあ!また何かやりたいなあなど、と思ったり。 その上で振り返って、木工で得られる「達成感」というのは、それに比べて何と地味なものであろうか!と、愕然と思った次第。


木工をはじめとする工芸的な「芸術」は、音楽などの舞台芸術とは、その意味では正反対の局面にあるように思う。コツコツと修行してそこそこの技術を体得し、製作もそれはもうネチネチと一球入魂するわけであるが、その結果完成するのは<モノ>である。ものによっては百年以上の間、所有者にある種の満足感(所有欲?)を幾度も与えつつ使用されてその寿命を全うしたり、あるいは立派なガラスケースに入れられて、何年となく人の目に触れるところとなる。

即ちオーバーかも知れないが、あるモノを作り出した時点で、未来に対して何がしかの責任とか約束が生じているわけですな。(技術レベルに応じて、それが「家族限定」だったり、さらには「自分限定」だったりするワケですが。)

音楽の高揚感が、「達成感の一括払い」としたら、「出来たモノをナデナデしては一人自己満足」というのは、「達成感の分割払い」みたいなもんですかね。


ともかく、女子フィギュアの朗報を聞きながら、やはりオリンピックというのは未だに特別の意味を持つものであり、それはたったの4年に1回しかないのだなあという事。
彼女らの芸術もおそらくは確実に過去に向かって進んでいる。


2周年記念でブログっぽくやってみました?

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住まい・インテリア」カテゴリの記事

コメント

こんにちは
とても素敵な文章でした
こういう芸術論、また聞かせてください

投稿: 大工協奏曲 | 2006.02.26 21:46

大工協奏曲さん

お褒めにあずかり光栄です。

私は教養も感受性もないので、音楽は聞くよりやる方が絶対楽しいと思っています。
特にクラシック音楽など、あれは絶対やる人のための音楽だと、断言してはばかりません。

投稿: かんりにん | 2006.02.27 19:29

こんにちは 
管理人さん 相当な腕前みたいで羨ましいです
私は学生のころ、マンドリンを弾いていましたが、音楽は聴くよりやる方が断然楽しいですよね
それから、舞台の上はこれまた気持ちがいいですね
昨年から無謀にもバイオリンをはじめまして、もうじき丸2年です
腕前に関係なく誰でも入れてくれるというアマオケにいれてもらい、セカンドの一番後ろで、弾ける箇所だけ弾くのが夢です

投稿: | 2006.02.27 20:32

こんにちは。

何か誇大な妄想を与えたような気もしますが、
腕前は全く大したことありません(泣)。

私も高校生の頃、マンドリンやってました!ドラですが。
マイナーですが取っつきやすい面白い楽器ですよね。

投稿: かんりにん | 2006.02.28 01:01

こんばんは
なるほど、管理人さんもマンドリンですか、奇遇ですね♪
音楽を再開したら、右脳を使うのではないかという期待がありましたが、仕事ばかりの左脳優位のころより、生活の中にメロディーが鼻歌みたいに入ってきて、少しゆとりが出たような気がします

投稿: 大工協奏曲 | 2006.02.28 19:55

大工協奏曲さん

私は現在は、もう音楽はほとんど生活の中で無関係な状態になっています。

高校時代に買ったギターは、バンドソーの一部(スタンド部分くらいか?)に化けました(笑)。
もう1本、中古でテーブルソー1台分くらいにはなりそうな管楽器が押入に眠っているのですが、ふと魔が差すこともありますがさすがにこれは思い入れが深く処分していません....。

投稿: かんりにん | 2006.03.01 01:10

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