木工の世界
寒いからと言うわけではありませんが、また本の話題。
早川謙之輔の木工の世界。 先日紹介した木工のはなし
が、作り方、材料、道具など、作る側から見た木工を綴った本であるのに対し、次作であるこの本の章立ては、机、棚、盆、建具、...と、作る「もの」で成り立っているように、製作対象それぞれに対する作者の思いが淡々と述べられています。
二月堂という机の注文を受けてその名前のものが分からず、あれこれ探し回ってやっと作った話。
本で偶然見た、「アーサー王子のカボード」を見に、英国まで行ってしまった話。(「カボード」が何かは本書で見てください。)
氏が考えて製作を依頼した盆のデザインを「バケツの底のよう」と言って笑った木地職人が、後に考えに考え尽くして同じデザインに行き着いたという話。 などなど。
堅苦しい話は一つもありませんが、名工と言われた人も、迷いながら作っていたんだなあと思わされます。
「受注生産」に対しては、昔は一つでも条件が入ると途端に自由が奪われたように思い、「作らされて」いるような気がして、もっと自由にのびのび作りたいと考えていたが、ある時点でそれが幼かったと気付き、作りたいように作らせてやる、と言われたらたちどころに困ってしまったに違いないと思うに至った、という作者。この章で彼はこのように結んでいます。
「青臭いことを書いたが、作ると言うことは、達観もいるだろうが、人間の青臭い部分も要るのではないか、と思っている。」
巻末の「木工のしごと・たのしみ Q&A」が何か微笑ましくて良い感じです。
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