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2005.05.24

電動工具の騒音 一般論

後先になりましたが、一般論を書きます。ネットのあちこちに置いてある情報の域を出ませんが専門家ではないので、間違っていたら指摘してください。

大きな機械ほど、さぞかし大きな音を立てると考えてしまいがちですが、案外その反対だったりすることがあります。下手な手持ちの電動ドリルよりもボール盤の方がずっと静かであることは皆さん経験のあるところでしょうし、木工所の大きな昇降盤など驚くほど静かです(切削中は切削音がうるさいですが)。

電動工具の騒音源は、主に動力源であるモータと、その動力伝達機構の2つと考えられます。
順に説明します。

1.モータの種類と騒音

モータは、種類によって騒音レベルに差があり、見かけが大きいモータほどうるさいというわけではありません。電動工具に現在一般的に使われているモータは下記の2種類です。

(1)汎用モータ

汎用モータは、ユニバーサルモータとも言われます。安価でかつ小型にできるので多くの手持ち工具、また比較的小型のもしくは廉価帯の据え置き工具に使われます。家電では掃除機、ミキサー、コーヒーミルなどがこのタイプです。

動作原理の説明は省きますが、回転する「芯」に電気を供給する必要があり、そのために「ブラシ」というものをその芯に常にこすりつけて電気を供給します。このブラシはブラシと言ってもヤワなものではなく、実際には炭素の棒です。ブラシと電極が擦れる際に騒音が発生するため、このタイプは後述の汎用モータに比べ、非常に騒音が大きい傾向にあります。

このタイプは、電圧を変えれば回転数が変化させることができるので、廉価帯で速度調整機構が付いている工具は、たいていの場合このタイプです。このモータは交流、直流を問わず使えるので、バッテリー駆動の充電式の手持ち工具も、このタイプと同じく「ブラシ付き」モータです。

(2)誘導モータ

誘導モータは、またもや原理は省きますが、芯に電気を供給する必要がないためブラシはなく、芯は軸受け以外には非接触で回転するため、非常に静かです。欠点としては、構造上サイズが大型になり重たくなります。低速で馬力が出るので、ボール盤や普及クラス以上のテーブルソーや木工旋盤などは全てこのタイプです。(一部価格帯とサイズ(大きさ)によっては汎用モータを用いているものがあり注意が必要。)手持ち工具で誘導モータを使用している例はワタシの知る限り、ありません。

回転数が変えられないので、ベルト駆動ならば一般的にはベルト掛替えで速度を調整します。

(3)その他

・インバータ式
昔は、速度調整可能なタイプは必ず汎用モータでしたので、そのことが騒音レベルの推測の手がかりとなっていましたが、最近高級な機械でインバータ式のものが出回り始めました。これはまたまた原理は省略しますが、モータとしては(2)と同じくブラシなしのモータを使用しますので、概して静かだと推測されます。

以上のことから、静かな工具を選択する際は、モータが汎用モータかどうかをまず確認することが参考になります。但し、汎用モータでも小出力のものは案外静かですし、バッテリー式のドライバーなどはもちろんかなり静かですので、モータの種類だけで決まるものでもないようです。

掃除機でも極端に静かなものがあることから分かるように、汎用モータでも防音対策をしっかりするとかなりの騒音が軽減されます。それについては、どこまで対策する(できる)か、メーカの技術レベルに加えて、設計思想(誠意?)の差となると思います。

2.動力伝達機構

モータ直結で動作している工具というのは多くなく、ほとんどの工具で動力を伝達する機構があります。

一般的なところでは、機構としては(1)歯車か(2)ベルトか、その混合と言うことになると思います。騒音面から見ると、歯車が騒音が大きい傾向にあり、ベルト駆動は静かです。
但し、歯車も出来の悪いものほど騒音が大きいといいますので、その辺りもメーカの技術レベルの差となると思います。

参考情報:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/

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