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2005.04.12

スピード木工(3) - ルーズテノン

ルーズテノン(loose tenon)は、正式名称かどうかはっきりは分かりませんが、名前はともかくこんな工法もあるということで紹介します。(4/13 ワタシの記憶違いで、"loose tenon"が一般的のようですので、訂正しておきます。)

前回紹介のビスケットは、効率と見栄えの面では「最高」の接合方法と言えますが、やはりイスなどに使う場合は、強度や耐久性に問題が出る可能性が高いと思います。特に厳しい部分は、やはり伝統的なホゾ組が望ましいのですが、このホゾ組に似た手法で、もう少し手抜きもとい効率的な方法があります。

050413-Aまず接合する部材の両方にホゾ穴のような穴を開けます。穴は、長丸穴が一般的で、テンプレートかそれに類する治具を使ってルーターで手早く開けるのが一般的と思います。次に、角を丸くした角棒をこの両方のホゾ穴に差込み、接着剤で固定するのがこの方法です。

ダボ接ぎの巨大化バージョンというか、「雇い」をホゾ組みに応用したというか、そんな感じです。ダボ接ぎよりも強度は格段に高いですし、何より「ひねり」に対して非常に強くなります。接合部分は基本的にはホゾ組みと同じような面で接合されているので、きっちりやればホゾ組み並みの強度が期待できます。

「角を丸くした角棒」は一部市販もされているようですが、自作が簡単で事前にまとめて作っておきます。角棒に丸面取りビットを使ってルーターテーブルで角を落としてやれば簡単でしょう。長い角棒からまとめて作っておけるため、簡単にでき、かつ自動カンナや手押しカンナその他の機械が使えるので、ホゾに比べてアマチュアでも高い精度が望めます。幅は、穴を掘るときに使用するルータービットの刃径に合わせておくと好都合です。

穴を開ける方も市販の治具もあるようですが、長穴が掘れればよいわけで自作も可能です。

市販のイスでも、壊れる寸前のところをよく見ると、荷重のあまりかからない前脚などでこの手法を使っている例が見られます。

また、これは思い付きですが、角のみ盤をお持ちの方であれば、この方法の角穴バージョンが可能ですね。適切なサイズの角棒を作れば良いので、上記のルーターでの長丸穴の方法よりもさらに簡単かも知れないと思います。ワタシなんかが下手にホゾ切るより、この方法の方が、精度が高い分よっぽど強いかも知れないとふと思いました。

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もう一つ、「静かな木工」がらみで一つ紹介したいのは、この工法が、手持ちの電動ドリルでできてしまう治具があるのです。beadLOCKという商品です。
この治具を使用すると、ドリルの穴を複数個連結したような形の穴が開けられます。この穴を両方の部材に開けます。これ専用の独特の断面形状をした棒が売られており、これを好きな長さに切って使います。棒を自作したい人向けに、この形を1回で削れるような専用のルータービットも販売が始まりました。

ツールレビューサイトでの紹介記事はこちら
日本ではTOOLS-GRさんが最近扱い始めましたので、当面は消耗品の購入の心配もないでしょう。使い方を理解するにはこのサイトの説明が最も端的でわかりやすいです。

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