スピード木工(2) - ポケットホール
ポケットホールは、簡単に言うと、「裏」から斜めに木ねじを打つことで、部材同士を接合する工法です。
(「クギが見えない」とは言いましたが、「使わない」とは言ってまへん。)
あたかもポケットのように穴を斜めに開けて、その穴に斜めに木ねじを打ち込みます。ポケットホールというのは穴自体を指すと思いますが、ポケットホールを用いた接合方法を指す用語として定着している感があります。
斜めに穴を開ける工程がポイントで、プロ用には専用の電動工具もあるようです。
例:ポーターケーブル PorterCable 552
これは1日にキャビネット類を何個も作るような「木工所」向けだと思います。
アマチュア向けに、非常に簡単な治具が何種類も販売されています。治具は、基本的には下穴と、ネジの頭が入る大きな径の穴がいっぺんに開くステップドリル(刃)と、そのドリル刃を斜めに部材に挿入する治具からなります。ネジを打ちたい方の部材の、ネジを打ちたい面に治具をセットし、ドリルで穴を開けます。相対する方の部材には下穴は開けないのが普通と思います。部材同士をしっかりクランプで固定して、木ねじをねじ込めば接合完了です。
日本ではあまり一般的ではないように思います。抽斗ものやキャビネット類、造作家具などを作る場合は、接合強度はさほど必要ないですし、「目に触れない部分」というのが多くあるので、スピード重視の場合は確かに重宝すると思います。ダボ接ぎは結構精度を出すのにイライラしますし、それよりも数段簡単です。但し、「趣味の木工」としては、裏側とは言え斜めに穴をぷすぷす開けるので、「美学」として受け入れられない方も多いかも知れません。
老舗タマクラフトさんではKregのセットを推奨していますが、Kregは結構高価で、確かに非常に便利そうですがセットによってはいわば「大げさ」なセット内容になっています。TrendやTASKからも出ていますし、ノーブランドでもっと安いものも出ており、試しに安物を1回購入して実感してみたいと思っています。
それぞれ入手先は、一例として
Kreg: タマクラフトさん(カタログの最後の方参照)
Trend: TOOLS-GRさん
オフコーポレーション: 縄文人さんからの情報
使用するネジは、専用というか推奨のネジがあります。が、普通のネジでも問題ないようです。
何が違うかというと、
(1)通常の+溝ではなく、独特の角穴になっており、専用の工具で回す。斜めから回してもネジ頭がナメにくいように工夫されている。
(2)ネジが先端の方しか切っていない(いわゆる半ネジ)。ネジを締めるに従い、自然と相手方の部材を引き寄せるようになっている。
ネジ締結の際に、これまた、専用というか推奨のクランプがあるみたいです。キリがないので省略します。
この前某TVチャンピオンで、カントリー木工選手権の時、うろ覚えですがポケットホールで細幅の板を並べて板矧ぎをしていた人を見てとってもびっくりしました。びっくりしましたが、えーと、とりあえずびっくりしましたとだけ書いておきます。
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