静かな木工(7) - 静かに縁取り
中国から帰ったら子供が、次いで妻がインフルにやられまして、さすがに夜中木工はできないのでウェブログの更新でもしようかと。
さて、縁を面取りしたり、丸くしたりするのは、最近はどの本を見てもトリマーでやることを勧めています。トリマーは最初の頃に紹介したように、作品のレベルが1ランクアップするように感じられる便利な工具です。しかし、たったのこれだけ削るのに、この仰々しさと騒音は如何なものか、と、静かな木工研究家を自負するワタシとしては常々思ったりしています。
と言うわけで、今回は、静かに縁取り、面取りする方法を昔ながらの方法を中心に挙げてみたいと思います。
(1)角面取り
角面取りまでいちいちトリマーを使っている人はあまりいないでしょうが、普通の小ガンナでは角度や面取りの大きさが定まらず、何となく「まあこんなもんかなあ」と思いながらやっている人は多いと思います。
面取りカンナは、ホームセンターでも安価なものを中心に見かけます。角面取りカンナは、面取りの大きさがネジで調節できるものがほとんどで、安物でもそこそこ使えます。但し、安物だと面取りの大きさの設定機構が少し頼りなかったり、逆目が出たりすることがあります。いろいろ物色しましたが、結局写真のような一般的な(そして少し高価な)タイプが使いやすいと思います。
(2)丸面取り
丸面取りは、手作業であれば、少し面倒ですね。
小ガンナで少しずつ角度を変えて面取りをしていき、角面取り(八角形)→16角形→32角形・・・・とやっていって、最後はサンディングで丸く仕上げるのが一般的です。この方法だと、丸みの大きさ(R)を一定にするのが難しいと思います。私も、その日の気分によって丸みの大きさが変わるので、なるべく丸面取りは全部いっぺんにするようにしています。
丸面取り用のカンナは、もちろん専用のものが市販されています。丸みの大きさ(R)は刃によって固定で簡単には変更できません。特殊な形状なので研ぎも難しいです。写真のは中古で入手しましたが相当年期入ってます。
Veritasから、丸面取り工具として、コーナリングツールというのが出ています。これは4種類の丸み(R)に対応しており、研ぎ治具も同梱しています。簡単な構造で値段もそこそこで、「あのVeritasの商品だからきっと使えるだろう」と購入してみましたが、研ぎが下手なのか、特に針葉樹系に切れ味が良くありません。刃の角度が思いっきりローアングルになるので、逆目だと木目に沿って割れてしまうのです。両方に刃が付いていて、押しても引いても使えるようになってはいるのですが。何度かトライしましたが、現在は使っていません。
(3)その他の意匠
その他、ギンナンとかヒョータンとかサジとかの断面形状、洋家具やカントリーで見られるような縁取りは、現在ではトリマー以外には考えられません。昔のヒトはどうやっていたんでしょうか。やはり一つ一つカンナを作って組み合わせてたんだろうなあ。
その他、欧米でビードと呼ばれる装飾を施すのに、罫引きの先にスクレーパーが付いているような工具を見かけます。自分でも作れそうです。実際、刃物はそんなにシビアではなく、木片にクギを打ち付けてクギをヤスリでとがらせてやる方法もあるようです。ビーディングはあまり日本では見かけませんが、あまりゴテゴテしないで1本くらいラインを入れてみると、作品が1ランク オサレになります。(写真はVeritasのビーディングツール。)
ワタシは、基本的に角面取り程度のスキッとしたデザインが好きで、角面取りカンナだけは常用しています。丸面取りカンナは、もとよりデザイン的にあまり登場する機会がなく、ほとんど使っていません。
結局、うるさいけど、角面取り以外はトリマーを使うのが最も効率的なのかなあ、と考える今日この頃です。
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