静かな木工(5) - ボール盤で段欠き
静かな木工ネタ切れ5秒前。
前にも少し書きましたが、騒音が問題となる環境にある人にとって、頭の痛いのがルーターあるいはトリマー作業と思います。非常に効率的でかつ多様性のある機械なのですが、甲高い大音量の騒音を発します。カントリー木工雑誌などでもにこやかに女性の方が使っておられますが、買ってびっくりされた方、苦手意識を持っている方も多いと思います。ワタシもあまり好きじゃないですね。特に手持ち。
さて、ルーターの使い方の一つに、エッジガイドを付けて、もしくはルーターテーブルでフェンスを使って段欠き加工、というのは結構皆さん良くやられる作業と思いますが、静かな木工研究家のワタシとしては、これについては代替方法を見つけましたのでここに報告します。
刃物が下に横向きに付いており、ボール盤に取り付けて使います。(下の写真は裏面。)
国内では見たことはありませんが、海外でも、こんな変なものを持っている人は少ないと思います。もとより、「変な工具」に興味を持つ性癖のあるワタシですが、さすがに不安を覚え、扱っている業者に評判を聞いたところ、「ボクは使ったことないケド、小物を専門に作っているメーカが大量に買ってくれてるヨ。」と教えてくれました(原文は英語)。
本来は、小物の平面および厚みを出す目的を想定しているようです。プロが使っているなら使ってみようかなと自動カンナを買う前に買って放っておいたのを最近掘り出して使い始めました。
説明書の中には他の使い道がいろいろ紹介されています。研ぐための専用の回転砥石と研ぎ方の記載があり、ボール盤で再研磨が可能のようですが、まだ研いだことはありません。写真が下手ですが、下が刃物部分の拡大写真で、勾玉のような形をしたのが刃です。
使用方法ですが、またもや超簡単ボール盤延長テーブルにご登場願います。ホント最近これを付けずにボール盤回す日ってないよなあと言うくらい延長テーブルはオススメです。
閑話休題、フェンスを写真のようにセットします。この場合フェンスは、少なくとも刃の周辺だけは削りたい目標厚み以下の高さ(厚み)のものを使います。ボール盤は、昇降ハンドルを何らかの方法で固定して下さい。深さ規制ネジのところに、ナットを追加するのが簡単です。簡単には上死点で使うという手もありますがグラグラするボール盤では加工中にずれて精度が落ちるかも知れません。
加工中のイメージ。材料と刃とフェンスの位置と送り方向に気を付けてください。さもないと危険な思いをするかも知れませんが、多分身体に重大な危害はないでしょう。
この方法は、剛性の面から精度は若干落ちるでしょうし、ボール盤は本来、横に力がかかることは想定していない(と思う)ので、ボール盤自体へのダメージも考えられます(ベアリングなど)。自己責任でお願いします。でも、個人的には音は静かだし、落ち着いてできるので結構気に入った作業方法です。刃が下向きでカバーされているので、危険性も少ないです。
回転数はできるだけ上げて使いますが、切削面はそれでも少し荒れ気味で、やはりルーターにはかないません。焦げないのは良いですが。あまり重切削もできず、1mmくらいずつ繰り返し切り込んでいく方が良いようです。パインなどの軟らかい針葉樹系、およびMDFには実績がありますが堅木はしんどいかも知れません。
ボール盤のテーブルを傾斜させて、レイズドパネルを作るノウハウが説明書に載っています(幾何学の問題ですが、傾斜させ方によっては平面、曲面の両方ともできます!)。ホントにできるんかいなという気もしますが、テーブルソーで斜めに材を走らせる、「あのテクニック」よりは、1000倍くらい安全な気がします。今度機会があったらチャレンジして、またレポートしたいと思います。
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