静かな木工(3) - 静かにホゾ切り
静かにホゾ穴が掘れましたので、静かにホゾのオスの方を切ります。
これは、手ノコで切るのが正攻法であり、最も静かな方法です。
胴付きノコを使って墨の外側を切り、際カンナかノミで寸法を合わせます(ホゾとホゾ穴では、穴の方を先に掘っておくというのが一般的)。職人さんはノコで一発切りっ放しだそうです。目指せ職人。
機械を使うとすると、テーブルソーでホゾ切り治具を使う方法か、ルーターを手持ちで、もしくはルーターテーブルで使う方法が一般的と思います。
静かにやろうと思うと、バンドソーが最も静かでかつ効率的です。手順としては手ノコをバンドソーに持ち替えただけで特に目新しいことはなく、カット自体もバンドソーの基本動作のみでできるのですが、参考までに手順をご紹介します。
(1)墨付けして、縦方向に切り込みを入れる。
縦切りフェンスを使います。フェンスはブレードのリード(ドリフト)に合わせて良く角度を調整しておきます。右に見えるのは即席フェザーボード。
「井」型に切り込みが入りました。
注意: 小さい木の破片がブレードとプレート(インサート)のすき間に挟まりはじけて飛んでくることがありますので、注意してください。写真のようにバンドソー用のゼロクリアランスインサートを使うとほぼ回避できます。
四角いホゾができました。木っ端を使って試し切りをして調整をきちんとすれば、切りっ放しでもそこそこいけます。
(3)(オプション)肩を丸くする。
角が丸い欧米流ホゾ穴の場合は、角の部分を丸めなければいけません。本来ならば、大きめに切っておいてノミやヤスリで成形、となりますが、丸く削るというのは結構大変ですし、素人がやるとだんだんせっかくの最初の平行度や垂直度が失われ、台無しになったりします。私もキレイに丸くするのがなかなかできなくて、そのせいでずっと欧米流のホゾは嫌いでした。
最近の私の好みは、縦方向だけは0.5mmから場合によっては1mm程度、明らかにゆるめに作るのです。そうしておいて、四隅をノミで軽く45度に落とすと、それだけでスッとホゾ穴に収まるようになります。いわば八角形の角部分が接しているというイメージです。理屈から言えば大幅にすき間があくことになりますが、軟らかい木ならば仮組みをしているうちに木殺しされて、勝手に丸まってきます(笑)。また元来、組み立て時の割れを防ぐために、一般的にホゾの縦方向はゆるめにすべきです。(注: この点は賛否あると思います。たくみ塾の本では、横方向をスッと入るくらいにして、逆に縦方向をきつめにし、最後は木槌で叩き入れるように記載があります。でもワタシの経験上、大抵仮組みの時に割れるのは縦がきつい時です(特に外す時に「ばきっ」と)。)
一生懸命フリーハンドできっちり丸くしようとしたとしても、その丸い部分で強度に貢献できるようなフィットが得られるとは、アマチュア(と言うかワタシ)には考えづらいと思い、割り切ってこの方針でやっています。その代わり幅方向はきっちり合わせて、そこそこのはめ合いになるようにします。
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