最初に揃える道具(7) 測定具
「木工で最初に揃える道具」として、前回の宿題であった測定具について最後に勝手に紹介します。
例によって偏見たっぷりと思いますが、私が現時点よく使うものだけ紹介します。
測定具はそれ自体は何も加工できませんが、工具と同じくらい重要だと思います。
持論と言うほどではありませんが、「見えない(測れない)ものは作れない」といつも考えています。
精度良く長さを測る道具がないと精度良く同じ寸法の板はできませんし、直角を測定する方法(定規に限らず)なしに、四角い箱はできません。
(1)直線定規
「大は小をかねる」のですが小さな作品に1m長の定規を振り回すのはかなり苦痛です。
最初は30cmか60cmか、自分の作りたいもののサイズを買い、必要ならば徐々に長さを買い揃えると良いと思います。
写真にもある、定規にネジ止めできる別売りのストップブロック?のようなものは結構便利です。商品名は「直尺用ストッパー」。副尺が刻印してあって0.1mmまで読めるようになるものがあるのですが、高価です。
巻尺も大物には必要ですが、どうしても精度が落ちますので、定規で測れない大物に限るべきです。
(2)直角定規、スコヤ
これも、なるべく大きいものの方が誤差が見やすいので精度が出やすい。自分の作りたいものでサイズを決めて下さい。一番小さい真ちゅうのは東急ハンズで買いました。小さいものは、よくありがちな根本に丸い欠き込みがない方が見やすいです。
なお、昔ながらの曲尺は、これの使いこなしだけで1冊の本ができる、もの凄い測定具(らしい)です。(私も持っていますが今はほとんど使って(使いこなせて)いません。)
(3)留め定規
留め(45度)が必要な作品を作る段になったら、買って下さい。
(4)毛引き
これもなるべく大きい方が精度がよいが、作品の大きさによる。
鎌毛引きよりも、
(1)木製の竿で、
(2)竿がネジ止めできるようになっている(くさび式のものは使いづらい。)
(3)固定したときに首根っこがぐらぐらしない
ものが良いのです(写真左側)が、そう言うのがホームセンターではなかなかないのです(特に(2)項)。
私は東京の金物屋に迷い込んで買いました。
微調整は、ネジを少しゆるめに止めておいて頭もしくは尻を作業台の上でコンコンやります。最後にネジを強く締めますが、この時にずれるような構造では失格。
(その意味でくさび式は使いづらい。)
欧米にも似たような道具がありますが押して使うようです。どう見ても日本式に引いて使うタイプの方が使いやすいと思います。
私は欲張って最初に「2丁鎌毛引き」(写真右側)を買いましたが、2丁目の鎌を使ったことはありません。(2丁同時に調整することは極めて難しい。)
(5)シラガキ、マーキングナイフ
鉛筆の線が太いと思うに至ったら必要。またホゾなどでノミを入れる際の手がかりになります。
しかし、ホームセンターでシラガキを売っているのは見たことがありません。写真にあるデザインナイフでも代用可能ですが、ノミの手がかりにしようと思うと少し細すぎと思います。
私は大阪の金物屋に迷い込んで買いましたが、ミキヒサは結構メジャーと聞いて一安心。
(6)ノギス
ノギスで測らなければいけない程の精密木工はしていませんが、板厚など「挟んで測定したい」という要求がありプレス製の安物を購入しました(写真左側)。小さいサイズで十分です。
(7)斜角定規
先日紹介の子供椅子を作るときに必要になって買いました。(写真は直線定規の写真の右上ご参照。)
真四角のものを作っている限りは必要ない。
以上、今まで述べたうち定規類は、ホームセンターでは圧倒的に「シンワ」というメーカが独占市場を形成しています。プロユースでは精度に問題もある声もありますが、私自身はその上のランクの製品の価格を考えると、これで十分と思います。
(8)番外編 消しゴム
材木の上に書いた鉛筆の線って消えづらいですよね?私だけでしょうか。
カンナをかければ一発で消えますが、サンドペーパーかければ消えるだろうなんて思ったら大間違い。サンディングで鉛筆粒子(?)が木材繊維の中に入り込み、にっちもさっちもいかなくなります。
よってカンナを使えない場所(もしくはヒト)では、仕上げの前に懸命に消しゴムをかけるしかなく、それでも完全に消えることはありません。今は亡き母に「消去力最強」と教えられた懐かしの「砂消しゴム」でも同様で、消えづらい上に悪いことに痕が汚く残ってしまいます。
ある日、妻につき合わされた手芸屋のトールペイントコーナーで、「トールペイント用(木材用)消しゴム」と言うのを見つけ、買ってみました。
舶来モノ(米国)で、"Gum Eraser"の表示があり、普通の消しゴムより高価です。生成色で触った感じは軟らかく、消しカスも多い。
で、消え具合ですが、普通の消しゴムよりはまあ消えるかなという程度に良く消えます。
責任は持ちませんがお試し下さい。過度の期待をして買うと、ガッカリするかもしれませんが、ちなみに私は、使っています。
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コメント
forestさん はじめまして 面白く拝見させていただいております。二丁鎌毛引きは、引き戸の引き手の墨付けに建具屋がよく使います。
ついでに、二丁シラガキとゆうのもありますがご存知ですか?シラガキを2枚背中合わせにした物で間隔を調整できます。これは障子の組子の墨付けに使います。これを扱っている店も少なくなってしまいました。シラガキは単に目印を付けるだけではなく、あらかじめ繊維を切断して切り口が、ばらけないようにするものなのです。
性能の良いチップソーの浸出でシラガキも消えて行きます。
投稿: ebon | 2004.07.19 20:12
ebonさんはじめまして。プロのしかもかなり年季の入った方と拝察しますが、シロウトの勝手な講釈にあきれずお付き合い頂き、ありがとうございます。
2丁シラガキは、ホゾの墨付けに使うのかな?と思いましたが、なるほど組子に使うのですね~。どこかで見た記憶があるのですが、何かの本の中の写真だったかも知れません。何せ、普通のシラガキでさえもずいぶん探しました。
手工具は、いろいろ種類もあって、機能美というか電動工具にはない魅力があり、見飽きません。
投稿: かんりにん | 2004.07.20 00:31