は じ め に

木工と、木工具、木工に使う金物についてのウェブログです。

コメント、トラックバックを歓迎します。

諸般の事情で当面木工は停滞中。木工以外含めて雑多駄文を並べています。
目次にまとめているのは比較的古い情報になります。

■目次 (一部抜粋)

Ⅰ.工具概説
     1.最初に買いそろえる道具
     2.据え置き機械の導入
     3.あると便利な機械・工具
Ⅱ.ツールレビュー、使用レポート
Ⅲ.木工TIPS
Ⅳ.テーマ別木工
     1.静かな木工
     2.スピード木工
     3.木工と安全
Ⅴ.作品集
Ⅵ.木工関連 BOOKS
Ⅹ.工房を建てる

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2021.05.22

ミニ・小抽斗

ご無沙汰しております。
久しぶりに真剣に木工したので製作過程を紹介したいと思います。

 

発端はネットを徘徊していた時にふとこの記事にあたりまして、「へえ美しいな」と思ったのです。ちょっと和風だと思いますが、全体のバランスが良いなと。10年あるいは5年前の自分ならあまり心に引っかからなかったような気もするのでその辺は年齢なのかもしれません。

 

小抽斗→こひきだしと読みます?[ファニチュアデザイン専攻2B] | 中央工学校 (chuoko.ac.jp)

 

同時に、何となく木工については一通りのことはできる気になっていたのですが、この学生たちが初期の実習で取り組むこの課題を今の自分はどれくらいできるんだろうかと。

 

ということで、木取り。
Img_4902

ジャーマンビーチですが、昔木工教室に通っていて生意気にも捻りアリ継に挑戦したいと言って木取りまでやった材がそのあとどうしても完成できずに残っており、材の供養を兼ねてそこから取りました。オリジナルサイズにはできず材もなかったので、勝手に2/3くらいに縮小することにしました。厚みは9mmと6mm。

これとは別にまた少し装備を揃えようとこんなブツを買ったのですが、それはまた別の記事で紹介することにします。

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ともかく、試運転を終えてこれで行こうかと思ったらBOSCHのルーターがぷすんと言って止まってしまい、壊れてしまいました。輸入ものなので修理に出すわけにもいかず、自力で修理したのですが、それもまた別の記事で紹介することにしましょう。

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結局手で刻むことにして、久しぶりにちまちまやりました。我ながら自分はこういうちまちまやるのが好きで木工やってたんだなと。少しずつ機械を入れて効率化を進めてきたはずでしたが、これはこれで新しい発見でした。

上面はアリ継ぎをわざとらしく見せていくスタイル。端っこは留めで合わせています。

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底面は隠しアリ継です。ちょっと隙間が空きました。

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ここでルーターが復活しLeighのダブテールジグ初登板。9mmの薄さはメーカー推奨ではないのですが、難なく加工できました。

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組みました。この辺から立体になってきて楽しくなってきます。

抽斗の底板は、安易に3mmシナベニアとして欧米風にあとから溝に入れてねじ止めする方法にしました。

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台輪は溝をテーブルソーで入れて雇いザネ留め継でさらっと組みました。

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完成。

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ジャーマンビーチ、オスモウッドワックス仕上げ。

学生さんはほぼ全部手加工かもしれませんが、大人はズルいので手持ちの機械が使えるところは機械を使ってやりました。久しぶりに楽しかったです。

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2020.02.03

キッチン扉リフォーム

長いこと放置しておりましたが、木工は体が空いたときにぼちぼちやっております。

少しずつ作業して、やっと一面リフォーム終了しました。

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キッチンの扉が化粧合板で、なかなかキレイな色だったのですがさすがに水もかかるし日常的に開け閉めするしで経年劣化には耐えられず、

ところどころハゲてきてみっともないので、扉だけ作って入れ替えることにした次第。

金具類はスライド丁番も引き出しの内部構造も全部そのまま前野を流用しています。

並べてみると少しガタガタしていますが、スライド丁番をもっときっちり調整すればもう少しはマシになるかな?

左から1~2列目。

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3~4列目

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5~6列目。

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パネル類はオフコーポレーションさんのルータービットブランドBTMTさんの馬乗りビットセットをつかってレール&スタイル形式で組んでいます。

B52-02 かまち組ビットセット ‘UMANORI’ 6mm軸

 

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引き出しは最後に作ったのですがぎりぎりで材が足りなくなり、メープルならカエデってことで良いでしょとそこらへんに余っていたカエデの端材を剥いで使ったことは内緒です。割り方を工夫すればもっと面白い杢になった(と思う)のですが、家族がバーズアイとかカーリーがあまり好きではないとのことなので素直に柾目で取りました。

 

…ココログ、しばらく触ってないうちになんか気持ち悪い改行をするようになったのですが?

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2018.05.17

壁面収納

壁面収納をやり替えました。

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特になしです。

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2018.05.04

充電ステーション

充電式工具の充電器がだんだん増えてきたので、今まで作業小屋のすき間にバラバラに置いていましたがまとめて充電できるよう充電ステーションを作りました。

棚はホームセンターに売っているディスプレー用の金具を使っており、好きなところに棚を設置できるようになってます。

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最近は作業小屋に入る頻度もめっきり減り、長い間充電しっぱなしのような状態になることがあり、充電中に過熱して火災になった例もあって気になっていて、昔使っていたオーディオ用のタイマーに繋げてみました。

スリープ機能を使って、例えば2時間なら2時間通電し、その後は根元から電源が切れるという使い方です。

1週間に1回、1時間くらい通電しておけば、ごくたま~に珍しく作業小屋に入ったら電池が切れてた、のようなことが回避できるとも思ったのですが、まだまだニッカド電池メインの当工房においては、メモリ効果が発現し、あまり良くないかも知れません。


短めですが「生存報告」を兼ねて、以上です。

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2018.03.06

電動ドライバー収納(仮)

ずいぶんと沈黙を守ってきましたが、今年はわりかし木工に萌え、いえ、燃えています。

とりあえず、数年間の間にいつの間にか足の踏み場もなくなった作業小屋を何とかしたいと整備しています。
今回のお題は、電動ドライバーの収納です。
去年BOSCHの10.8Vの電動ドライバーを型落ちで見つけてうれしくなって買ってしまったのですが、これが日本のメーカーのものと違って、「吊り下げる」ところがないので何となく定位置がなく、収納に困っていたのです。

で、動画か何かで見かけた欧米風の電動ドライバー収納を試作してみました。欧米のアマチュア木工家の工房などではよく見かけるタイプだと思いますが、今まではぶら下げておけば良いので目に入ってなかったのです。

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適当に、手持ちのドライバーから型を取って「こんなもんかなあ」という感じで切り欠きを作り、あとは大ざっぱにコーススレッドで箱状に組み立て、棚の下にこれまたコーススレッドで打ち込みました。
カッコカリなので、材料も何かの箱をバラした合板を再利用しています。

こんな風に引っ掛かります。割とカッコいい。かな?

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3台、それぞれ異なった形の切り欠きを作ったのですが、結果としてはどれをどこに入れてもきちんと収まります(笑)。

但し、位置的にはちょうど頭の高さの程よいところにあるので、現状では非常にジャマというのが正直な印象です。手が届きやすいとも言えるのですが、もう少し取り付け位置を研究してみます。


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2018.01.22

エアコンを取り付けました。

寒い日が続きますが、エアコンを取り付けました(冷房専用)。

今年は木工再始動を目標にしていますが、思えば今年ゴールデンウィーク以後木工が停滞したのはひとえに作業小屋が暑かったからだなと再認識し、数年間先延ばしにしていた対策を講じることにした次第。

この時期にやらなくても良いだろうとも思いますが、暑くなったら途端に動けなくなるだろうし、とりあえず今年は「思い立ったらすぐ実行」の心持ちなのです。

1坪程度の小屋なので、冷房は何通りかの方法があると思いますが、①まずスポットクーラーみたいのを買って、夏場はダクトから本体を外に出すかあるいは廃熱を外に出して使おうかと思ったのですが、結構筐体も大きく、毎回外に出すのも面倒そうです。で、②窓用エアコンを買って自分で付けるか、③フツウのエアコンを買ってプロに付けてもらうか、だなと。壁面はもうぎっちり工具収納スペースになっているのでフツウのエアコンは取り付ける場所もなく、って言うか電器屋さん呼んだら小屋の内部見てびっくりすると思うので、とにかくフツウのエアコンは無理だと判断し、窓用エアコンを買ってみることにしました。

市販品は結構高いな~と思ってネットオークションを見てみると、数年落ちくらいのヤツが1/3くらいの価格で出ているので、まずはこれでテストするかということで、またもやポチってしまいました。

取り付けられるようなフツウの窓はないので、窓枠取付用の金具(枠みたいなヤツ)は要らないかと思ったのですが、本体が20kg近くと重くプラスチックの筐体はどこをどう取り付けようか迷う形状になっているので、やはり順当に枠付き+リモコン付きを買うのがオススメです。リモコンは途中で失くすのか、結構な確立でリモコンなしの出品があるので要注意です。

で、テキトウに小屋に2バイ材で固定してこんな感じになりました。

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もっと小綺麗にやりたいものですが、工房の改良は(ものすごく狭いため)工具や持ち物をあちこちに追いやって加工するため、自慢の工具は全部荷物置きになってしまって使えないので、どうしてもやっつけ仕事になってしまいます。まだ少し隙間があるので、あとでネチネチ何とかしましょう。とりあえず、ここにあった荷物をを片付けなければ、歩く隙間もありません。

外側から見るとこんな感じ。

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もともとこの小屋はキットを購入して自作なのですが、一つ標準オプションで窓が付いており、あまり考えずにテキトウな場所に飾り的な感じで窓を開けておりましたが、今回はここにエアコンを取り付けることにした次第。

ご覧の通り、この窓は上下で最大半分しか開かないので、窓を外して取り付けようかなとも思ったのですが、工事がメンドウになるなと思ったのと、近隣からの見た目としてはここはカワイイ窓のままの方が良いなと思い、このようにしました。1坪程度なら多少効率が悪くても冷房能力はこと足りるでしょうし、ダメそうならまた考えます(このへんがDIYの良いところ(笑))。

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2018.01.14

カンナの口埋め

持論ですが、「カンナは台で切る」だと思っています。

研ぎは苦手意識があり、一生の私自身のテーマになると思っていますが(そもそも、フリーハンドであんなまっすぐに何故研げるのか、理解できない)、カンナは下端がきちんと調整できていないと、刃をいくら研いでも、いくら刃を出しても削れないものです。

かなり長時間木工を休んでいたこともあり、リハビリ期間は「ちょっと狂ってるんじゃないかな」と思いつつも目をつぶってカンナ使っていましたが、思い直して下端をちょっと調整してやるとやっぱりバリバリ削れるようになったので、ああやっぱり下端だよなあ、と。ということで、と言うか、ちょっとの調整でバリバリ切れるようになること自体が久しぶりにすごく嬉しくて、「よし、木工再開にあたって一度、十台くらいあるカンナをまずは全部一通り台直ししよう」、と思い立ちました。

そんな折、昔お会いしたこともあるOYA-Gさんのブログで、口が広がったカンナを口埋めして超仕上げレベルに回復、という記事を読み、これはスゴい、マネしよう、ということで、比較的口の開いた2台を口埋めしてみました。

OYA-Gの木工狂躁曲: 越翁口埋めで機能アップ!

ということで経過は省略していきなり完成写真。
目指せOYA-Gさんと意気込んだのですが、カンナ屑が詰まるのがイヤで、0.1~0.2mmとは追い込めず、だいたい0.5mmくらいと言ったところ。

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台の方はトリマーで溝を掘り、ノミで四角く整形しました(あり溝にはしませんでした)。ホームセンターの端材コーナーでカシのブロックをストックしてあり、追柾で木目が平行になるように木取りして、あとは現物合わせで埋め込みました。少し頭が出るくらいにしておいて、後は接着してからネチネチ削って平坦にします。

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改めて、台直しします。
工具の仕込みの師範と(勝手に)仰いでいる手柴師範のサイトを見て、台直しカンナもカスタマイズもやりました。

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台直しの「カスタマイズ」はこちら。
大工道具の曼陀羅屋:立鉋の下端の角仕立て

あとは単身赴任宅で、平日の夜中に静かにボチボチやりました。
裏が切れた刃はきちんと裏出しもやって、ボチボチペースで1週間ほどかかりましたが、試しに削ってみたところ、かなり調子は回復しました!

残りのカンナは埋めるほど口は広がってはいないので、とりあえずこのまま台直しします(決して面倒くさくなったわけではありません…)。


…木工本格再開にはまだ遠いようです。


参考文献:

大工道具の曼陀羅屋:鉋の裏押し
大工道具の曼陀羅屋:(台直鉋の)下端の直し方
大工道具の曼陀羅屋:立鉋での下端台直し手順
Re:Woodworking(拙サイト):カンナの下端調整

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2018.01.01

トリトンの新しいワークセンター

一昔ほど前に一世を風靡したものの一つとして、トリトンのワークセンターがあります。

これを知っている人は、比較的木工あるいはDIY歴が長い人ではないかと思います。

基本的には市販の丸ノコを逆さまに取り付けて丸ノコテーブルのようになるというものですが、オプションでルーターテーブルやジグソーテーブルがモジュールで用意されており、これを追加していくと多用途に使える「多機能ウッドワークシステム」というものでした。

プレス鋼板をベースにしたその構造は何代か改良され、その最終形とも言うべきワークセンター2000は日本でも一時期はホームセンターでも取り扱われるほど精力的に紹介され、当時のDIY木工家達には憧れの存在となっていました。

こんなやつです。

Untitled

日本では、何らかの理由でしばらく販売が途絶えましたが、今はtriton-japan.comなるサイトは株式会社リーベが運営しており、販売は継続しているようです。が、サイトを見ると「国内在庫限りの販売となります」と表示があり、オプションや消耗品などが販売されるのみとなっています。

日本のアマチュア木工界もその後ハイエンド化が進み(私の周りだけかも知れませんが)、ステップアップを目指す人はコントラクターズソーやハイブリッドソーなどに手を出すことになり、このワークセンターに類するものは暫く目を向けられることもなかったのですが、最近、トリトンが"Original. Anagin"と称して、新しいワークセンターを売り出しているようです。

ワークセンター TWX7というのがそれで、コントラクターソーモジュール CS001 を取り付けた状態がこんな感じです。

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完全にモジュール化しており、上述のコントラクターソーモジュールの他、ルーターテーブルモジュール、プロジェクトソーモジュールが別売りです。プロジェクトソーとは前のワークセンター2000ではクロスカットモードと呼ばれていた機能で、丸ノコがレールに沿って動くことで材を切削する感じで、今で言うとスライド丸ノコみたいなイメージです。

海外の雑誌では割と丁寧に取材されており、この機械がどんな機械かは動画で見てもらうのが早いと思います。

以前のプレス鋼板ベースのワークセンターに比較すると結構カッチリ作っている印象でかなり良さそうですね!あとはフェンスがどんな感じかは不明で興味があります。但し、ルーターもトリトン製しか取り付けられないし、フェンスも独自設計なのでサードパーティーから出されている各種のオプション品を後から買って付けることはかなり限定されると推定され、「トリトンを気に入って、トリトンと心中する(数年間は)」という覚悟が必要だと思います。まあ、これだけ揃ってしまえばさほど作業に不自由はないと思いますが…。

私はRocklerからのメールマガジンで知りました。日本で購入するとすると、Rocklerからは買えそうです。一括セットになっており、日本円で16万円とのこと(本日のレートにて)。

Rockler: Triton WorkCentre Package with Router Table, Contractor Saw and Project Saw with Free Accessories

木工道具を恒久的に設置できるようなスペースに恵まれている人は少ないと思われ、今の日本でも、このシリーズの、コンパクトに収納できて運搬できるというメリットは依然として大きいと思います。但し、16万円ぽーんと出せるかなあっていうところと、全体の精度がどの程度になっているのかが現時点不明で、個人的には「買い」かどうかは判断つきかねるのが正直なところです。

また前のブームの時みたいに、ホームセンターでデモをじゃんじゃんやってくれたりしてくれると、木工人口も増えて良いと思うのですが~。


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2017.12.25

ランドリーラック

久しぶりに作品を作りました。
何の変哲もない棚ですが。

家をリフォームしたのに伴い、風呂と洗面所も入れ替えたのですが、細々としたものを置くスペースがなくなったので、ジャストサイズの棚を作ることになりました。

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壁付けのタオル掛けもなくなったので、良さげな金物を物色して取り付けています。
後付けで付けたので、ちょっと裏側はビス穴が残念な感じになっています。

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脚はタモ、天板が何故かジャーマンビーチです。
随分前に矧いだ板を成仏させたいと思って使いました。
寸法に合わせて切ったら、ビスケットがコンニチハしてきて焦りましたが、何とか両方ビスケットが出てこない位置を見つけてカットしました(笑)。

全体としては何のデザイン上の工夫もなく、さらに各部のバランスも今ひとつですが、なるべく軽く作りたかったのです。
各棚の高さも、おおよそ入れるものが決まっているので、それに合わせています。
棚はシナ合板はめ込み。

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ちょっと所帯じみてますが、こんな感じで収まりました~、という説明写真です。
小さなコダワリで脚の最下部が少しだけテーパーかかってるんですけど、写真ではほとんど分からないし、デザインにもあまり貢献してないですね。

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振り返るとこれ、何とゴールデンウィークから作り出していて、ひと夏超えてやっと今できた、というとものすごい手間がかかっているように見えますが、実は夏場は作業小屋が暑くて作業にならず、半年近くうっちゃっていたので主にはそのせいです。

先日のDIYインストラクター試験で再度火が付きましたが、やはりものを作るのは、特に木工は楽しいですね。

とりあえず来年の夏には作業小屋にエアコンを付けたいと思います(笑)。

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2017.12.12

DIYアドバイザー試験 受験記(長文)

すっかりご無沙汰しております。

今年は一念発起して、「DIYアドバイザー」という資格を受験しておりました。

この資格は「DIYを実践する人に、用品選択や使用方法などを指導・助言するスペシャリスト」というもので、日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会が試験を実施し、資格認定しているものです。試験としては、筆記形式の一次試験と実技形式の二次試験があり、例年、受付が5~6月で、一次試験が8月頃、二次試験が11月中旬(年によって異なる)ということで、受けようと思うとほぼ半年がかりのチャレンジになります。

私はまず過去問集を購入してみたのですが、あまり範囲の広さに目が眩んだのと、最近勉強らしい勉強をしていないので(笑)ちょっと自信がなく、高額だなと思いながらも通信教育を申し込みました。バラ売りもしている動画DVDがセットになっており、少しでも動画的な資料が参考になるかと思ったためです。

通信教育はテキスト 4冊と、「精選問題集」なる問題集が計2冊(学科、実技)、DVD3枚が主な内容で、教材は一度に届きます。添削は4回、分からない箇所は質問を送ることができ、いずれもWebから提出も可能、という内容です。他の教材はともかく、結果的にはDVDは個人的にはあまり必要性を感じませんでした。内容は初歩的で、まったくの初心者なら参考になるかもレベルです。

一次試験は、簡単な記述問題が数問ある以外は全て○×か四択か記号を選ぶ形式のマークシートです。上でも述べましたが非常に範囲が広く、住宅の構造、関連法規、に始まり、木工、金工、電気工作、…と多岐にわたります。私はなんやかんやと一通りのことをかじってきた自信があったのですが、塗料、接着剤の種類とか、蛇口とか水栓の問題、錠前その他の建築系の金具や建具、住まいのお手入れ用品…あたりは非常に苦労しました。

結果としてはおかげさまで一発で合格。で、次は二次試験です。

一次試験の合格通知にちゃっかり二次試験の講習の案内が付いており、二次試験は全く勉強法が分からなかったので、素直に講習を申し込み、受講しました。

二次試験は、過去問を見ると各年度で42問くらいあって、…これ、一人で1日で全部やるの?と思いましたが、仕組みとしては下記の通りです。
 (1)実技試験は、3問+面接。いずれも一問10分(面接はもう少し長いかも)。
 (2)原則的に1回の試験では、6人1チームになり、4チームが上記の試験を順番に回る形になる。
 (3)東京+大阪で、上記の試験を14回行う。 問題の漏えいを防ぐため、各回で試験問題は異なる。
ということで、42問のうち運によってどれかが当たる、と言うことになります。(計算あってますよね。)

講習で先生が言っていましたが、基本的に
 木工から1問、
 電動工具から1問、
 補修から1問、 (壁紙貼りとか水栓、建具の分解、組立てなど)
という出題バランスになっているのだとのこと。

ここは木工ブログなので木工について詳しく触れると、板材を半分に切って、簡単な仕口(相欠き継ぎ、3枚アラレ組、ダボ継ぎあたり)を一箇所だけ作りなさい、という感じの設問がほとんどです。材料は軟らかい針葉樹で杉だと思います。もちろん製材してあります。道具は持ち込みはNGで準備されたものだけを使います。

ここでまず違和感があるのが道具で、例えば3枚アラレ組(この試験の界隈では「3枚組み手」と呼ばれています)の問題で用意されるのは、主なもので両刃ノコ、玄能、ノミ、指金、巻尺、エンピツ、あとはクランプなどの固定具です。趣味で木工をかじっていると、
 墨付けに罫引きとシラガキを使いたい!
 あと、できれば指金よりスコヤを使いたい!巻尺要らないから直尺欲しい!
 8寸目くらいのノコ欲しい!
 切断面の仕上げにカンナ使いたい!
と、結構モヤモヤします。

それよりも違和感があるのは墨付けですね。他の問題に比べて、木工は皆さん時間内に終わるのが難しいらしく、特に慣れてないと墨付けに時間がかかるのだとか。で、講習では、板厚は実物を使って写せ、とか、2本並べて線を引け、とかいろいろテクニックを伺いましたが、木工的にはちょっと首をかしげるのも何点かありました。一番疑問を持ったのは、第一基準面、第二基準面…の考え方は全く無視なのです。製材がある程度信用できればそれで良いので、まあそれでも良いのかなと。

あと、時間が10分しかないので仮組みしながらネチネチとノミで追い込んで…みたいな時間はなく、ノコは一発で墨線を狙うくらいの気迫が必要です。あまり精度は問われないようなので、それで良いようです。

いくつか採点ポイントがあるとのことで、講習で伺った限りでは、
 ・指金をきちんと使えること。(材に引っかけて使う。間違って裏目を使わない。)
 ・ノコギリの縦引きと横引きを使い分ける。
 ・刃物を安全に使えること。
 ・設問の通り、クランプやバイスを使って固定すること。(設問に書いてある)
 ・時間内にできること。
という感じらしいです。

出来映えについてはただ一点、「手で持ち上げて外れなければOK」なのだそうで、キツめに作って最後は木殺してはめろと教わりました(笑)。(杉(多分)なのでミリ単位で木殺しが可能。)

私は本番は、
1問目が木工で、包み打ち継ぎを隠しクギで留める問題、
2問目が電動工具で、電動ドリルドライバーで鬼目ナットを仕込んでボルトで木材を締結する問題、
3問目はアクリル板やゴム板、タイルやら合板やらを「適切な」接着剤で接着する問題、
と比較的素直な問題が当たりました。

木工の時は隣のブースの「あと2分!」を、自分のブースと勘違いして焦りましたが、もう1回自分のところの「あと2分」が聞こえて「ガクッ」となりつつ、何とか完成できました。

面接は、3名前後でのグループ面接で、簡単な自己紹介(名前、職業など)を聞かれた後は、どうやって勉強したか、なぜ受験したか…などの質問が主で、あまり知識面を問うことはなく、基本的な受け答えを見ているようでした。

で、結果は1週間くらいで届き、こちらも一発で合格でした!

ここからは受験を通しての感想ですが、総じて思ったのは、まず、DIYアドバイザー試験の言う「DIY」とは、定義からしてあくまでも「住まい」を補修、改良していくことに特化しているということです。ちょっと一般のDIYの認識よりは狭義の定義をしているような気がします。

また残念ながら、「資格のための資格」になっている感が結構あり。

住宅の知識も木造軸組工法に多くのページを割いており、今の住宅の比率を考えるとどうなのかなと。出てくる建具も「円筒錠」とか、最近実際にはほとんどお目にかからないような古いものしかありません。

接着剤にしても、「△△と××を接着するには○○系接着剤を使う」とかを延々と暗記するわけですが、今どきホームセンターに行っても「○○系接着剤」という表示はなく、各社の商標あるいは「△△用接着剤」という表示だけなので、実際には○○を覚えていなくても困ることはないのです。

用語についても、「この試験だけに使われる用語」みたいのが結構ちらほらする気がします。上述の「3枚組み手」もそうですが、その他の部品、用具についても、一部はホームセンターに「予習」として見に行っても、その名前のものを見つけることができませんでした。

また、出題の可能性を考えると恐ろしい量のことがらを勉強しなければならないはずなのですが、特定の出題パターンがあり、結局は過去問を(理屈抜きでも)ひたすら暗記していけば何とかなるという試験になっています。

あと、「この作業にはこれを使う」、みたいなことを淡々と暗記するのはどうなのかな、とも思いました。基本的に私自身は、DIYは「こんなことをしたいけど、この道具とこの材料でこんな風にできそうだな」とかの試行錯誤が本質だと思っていて、「ウマく行けばOK、ダメなら懲りずに再トライ」の世界だと思っているので。まあ、アドバイザーという立場上、模範解答を持っておくべきということは理解しますが、DIYはもっと堅苦しくなく自由であるべきではないかな、と。

特に、受験料、講習料、登録料がそれぞれ高いのでそう思えるのかも知れませんが…。)


最後に、受験に際しての勉強法です。

一次試験は、面接などで聞いていると、過去問をひたすらやったと言う人が多かったです。私自身は通信教育を受けましたが、今振り返ると過去問だけでも行けたと思います。通信教育は結構高額で、値段程度の価値はあるかというとちょっと疑問ですが、私は今までいろいろかじっていたからそう思えるのかも知れず、全く何も知らない初心者の方ならば価値はあると思います。

二次試験については、確実に受かろうと思うなら講習を受けるのが一番確実だと思います。通信教育は、実技のテキストは1冊含まれてますが、添削やその他のサービスは受けられず、あくまで一次中心という感じがします。

ホームセンターなどでは、職場で先輩が勉強会みたいな形で教えてくれるところもあるとのことですが、全くの門外漢なら、やはり二次は講習を受けるのが早いのかなと。但し、木工も何も全くしたことがないと言う方だと、ちょっとシンドイかも知れません。但し、合格者の方のブログなどを見ていると3門中1問くらいはアラララ…な結果でもけっこう合格しているようなので、合格率は低いですが、合否基準自体はさほど高くなく完璧を目指さなくても合格はするんじゃないかと思います。

受験を通して感じたのはやはり自分はものを作ったり(壊したり)するのが好きなんだなと言うことと、この歳になっても知らないことを習って、やってみて、できた!というのはうれしいものだなと感じた次第です。

おしまい。

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